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コンプライアンス(compliance)

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コンプライアンスは一般に「法令遵守」と訳され、狭義には企業の監督官庁と癒着、反社会的団体への関与、そして社員の不正行為や反社会的行為を防止するために法令等の社会規範を守ることを意味する。しかし広義にはその企業の企業倫理を明示化し、その企業及び社員が社会との関係を的確に認識し、その社会の構成員として望ましい社会関係を維持するための行動規範を指す。

日本で企業のコンプライアンスへの関心が高まったのは、1990年代の後半に立て続けに明るみに出た、金融機関の総会屋など反社会的団体への関与や、監督官庁(当時の大蔵省)への過剰接待などの不正実態の摘発からだと言われている。また最近では2005年4月に施行された個人情報保護法への対策として、各企業でコンプライアンス・プログラム(CP)が制定されるなどのことで注目されているのは周知の通りである。今日この概念が着目される背景には、企業及び企業活動の社会的影響力がますます大きくなってきていること。その企業の持つ倫理観や慣習的な行動規範の暗黙の共有が、社員の価値観の多様化や流動化によって難しくなってきていること。グローバリゼーションの進行により企業の活動が世界に広がり、グローバルな共有ルールを企業に求められる機会が増大したことなどが挙げられる。

コンプライアンスに具体的に企業が取り組むには、コンプライアンス・プログラム(CP)を制定することが必要となる。このプログラムの典例は米国の「連邦量刑ガイドライン」の効果的な法令違反抑制プログラムであると言われている。このプログラムの概略は、コンプライアンスの基準と手続きの制定、上級役員からなる監督責任者の選任と権限委譲への配慮、基準及び手続きの社員への教育と周知徹底、監査・報告システムの確立、不祥事が起きた際とその後の再発防止への対応とプログラム全体の見直し基準などである。そのために方針(企業倫理の明示化)、規定、細則及び手順書、マニュアルなどの整備とそれらを適切に運用するマネジメントサイクルに基づく運用システム(マネジメントシステム)の確立が必要になる。

しかし当然の事ながらもっとも重要なのは、システム確立以前の企業倫理の確立である。企業活動は利益追求が目的であると同時に、CSR(Corporate Social Responsibility)に代表されるように社会的責任を果たすという側面がある。したがってトップ自らがその企業の企業倫理を明確にし、それを行動規範として現実に行動するというリーダーシップを発揮しなければシステムは何時しか形骸化してしまう。

今までは一般的にコンプライアンスは企業活動にとって制約を与えるものであると見做されることが多かった。しなし今日では長い目で見ればこれは企業にとってプラスになるという考え方がされ始めている。それは企業ブランドを高めるだけではなく、投資家の市場での企業価値を判断する要因になりつつあるからである。実際公共心のある企業は企業成長度が高いというような調査結果も出てきている。そのような意味から今後、企業の企業倫理の確立やそれを支えるコンプライアンスへの取り組みは、企業戦略の重要な側面として認識されるようになる可能性も高い。

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