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全体最適と部分最適

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システムや組織において、各部分機能の最適を図ることを部分最適、システム・組織の全体の最適を図ることを全体最適という。
例としては企業及び企業グループで調達、生産、物流、販売など個々の業務機能のみの生産性を上げる(部分最適)のではなく、業務機能全体の効率や生産性を最適化する(全体最適)ことを考えてその企業や企業グループの収益を最大化することを目指す、などというように使われる。

多くのシステムや組織またはその組織の業務などは、部分的な機能と、その集合体(全体)が果たしている全体としての機能の2つとして捉えることが出来る。部分的な機能が他の部分的な機能との協調を考えなくてよいという環境下では、全体の果たす機能の効率や生産性はあまり省みられない。例えば高度成長期の日本企業は事業の多角化を図り、かつ各事業を事業部や子会社化してそれぞれを一つの独立した機能として経営をすることを奨励した。このことは市場が拡大してビジネスチャンスが次から次へと生まれる状況では、意思決定や組織の機動力を、拡大する市場に対応させるためには意味がある戦略であったと言える。しかしながらその結果として各事業部の中に似たような機能が作られたり、似たような子会社を多く作るような状況となり、企業全体は非効率な状況になってしまい、バブル崩壊後の企業再生の中でそれらの多くを清算せざるを得ない状況になったのはよく知られるところである。そこで最近は常に全体の最適(多くの企業活動においては生産性や収益の最大化)を重視して、部分最適を戒めるような傾向に変化しつつある。

部分最適と全体最適の考え方は、昔から言われる「木を見て森を見ず」の諺に通じるところがある。望ましいは「木も見て、森も見る」という認識であり、部分と全体の両方が最適化される状況をいかに作り出すかということだと考えられる。それは部分と部分が絶妙な協調関係を保って全体としてのシステムを、環境の変化にうまく対応させながらも自らを維持、成長をさせる生物のような組織やシステムをどう実現させるかということとも言える。

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