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【第1回】心配ご無用、小難しい話じゃないんです

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皆さん、はじめまして。今回より「PM力であなたも組織も強くなる!」と題して連載を開始することとなりました。いきなりですが、ここで「おやっ?」と思われた方、きっとサブタイトルの「業界・年齢不問」というキーワードに驚かれていることでしょう。「だって、私は車のセールスだよ!」、「ワシは農業じゃよ」、「僕は学生ですけど・・関係ありますか?」。しかし、心配ご無用です。プロジェクトマネジメントとは、何もプロジェクトマネジャーという肩書きを持った人達だけに必要なものではありません。すべての方にとっておおいに役立つ考え方なのです。
なぜならば、実を言うとあなたは日常的に多くのプロジェクト活動に関わっているはずだからです。

プロジェクトという言葉を大袈裟に考える必要はない

「プロジェクト」と聞くと、その単語に馴染みのない方は、超高層タワーを建てたり、人類を月に送り込んだりといった大掛かりな事業をイメージされることでしょう。しかし、プロジェクトとは単に「ある期間の中で独自の成果を生む活動」を指す言葉に過ぎません。ちょっと難しいかも知れませんが、言い換えれば、始まりと終わりがあり、これまでと異なる「新たなチャレンジ要素」を持った活動がプロジェクトと言うことになります。
例えば、新しい販促イベントの開催や業務の改善、農業であれば新しい作物を植え付けて収穫する活動などはプロジェクと呼ぶことが出来ます。仕事に限らず言えば、家族旅行や受験勉強だって立派なプロジェクトなのです。そこに「○○プロジェクト」と名前が付いていなくても、そしてプロジェクトであることと意識していなくても、あなたは日々プロジェクトと付き合っているのです。
ここで、「受験勉強のように一人で行う活動もプロジェクトと呼べるのか?」と疑問を持たれた方がいるかも知れません。確かにプロジェクトという言葉を組織的な活動に限定して使う場合もありますが、ここではあまりこだわる必要はありません。なぜなら、この連載でテーマとしている「プロジェクトマネジメント」は、そのような一人で行う活動に対しても十分活用出来る考え方や手法だからです。

プロジェクトマネジメントは「モヤモヤ」と戦う武器

仕事の関係者を招いたパーティの準備をあなたが任されることになったとしましょう。あなたにとって始めての経験であり、様々な「モヤモヤ」が頭の中に発生します。「出席者は一体何人来るだろう?」、「ホテルの宴会場の予約は今からでも間に合うものなのか?」、「お金は幾ら掛かるのだろう?」。
実はこれらのモヤモヤの正体、それはプロジェクトの持つ「不確実性」なのです。プロジェクトが「新たなチャレンジ要素」を持った活動である以上、そこには必ず「不確実性」が付きまといます。それがモヤモヤとなって皆さんを不安にさせるのです。チャレンジが成功するかどうかはこの不確実性を如何に押さえ込むかに懸かっており、そのための行動こそがプロジェクトマネジメントなのです。
何も難しく考える必要はありません。あなたは、まずパーティの日までに何を行えば良いかを考えるはずです。そして、やるべきことや気になっている点を書き出し、それらが処理出来たか逐次状況を確認しながら進めることでしょう。先の見通しを立て、状況を確認しながら進めれば、モヤモヤを恐れる必要がないことを無意識のうちに知っているからです。それらはまさしくプロジェクトマネジメントの基本的な考え方であり、あなたはごく自然にそれを実行しているのです。

基本動作は、段取り・確認・振り返り

プロジェクトマネジメントは特殊な行動ではなく、普段から無意識ではあっても行っていることなのですが、この行動を大雑把に分類すれば、「段取り・確認・振り返り」の3つの動作から成り立っています。
「段取り」とは、だれが、いつ、何をすると言った活動の計画と見通しを立てることです。「確認」は、計画に対してどこまで作業が進んでいるのか、何か問題が起こっていないかと言った状況をチェックし、必要であれば手を打つことです。3つめの「振り返り」、これはすべての活動が終わった際、プロジェクトの目標がどれだけ達成されたかを評価し、そこから今後活かせる新たな教訓を得ることです。
これら3つの基本動作を通じて皆さんは日々プロジェクトの「モヤモヤ」と戦っている訳ですが、実際には、巧みに戦えている人とうまく戦えていない人がいるのです。ちょっと周囲を見渡して見て下さい。同じような経験を積んできたにも関わらず、「やり方を含めて任されている人」と「細かい指示を出されている人」がいませんか?
その違いが、ズバリ「PM力」の巧拙の差なのです。PM力、すなわちプロジェクトマネジメントの力とは、「プロジェクトを成功に導くノウハウ」をどの程度持っているかと言うことであり、「3つの基本動作をどれだけ的確に行えるか」にその差が現れます。段取りがまずい、状況を正確に捉えられない、振り返らない人に安心して仕事を任せることは出来ませんよね。「最初にこれやって、次にこれやって」、「あの件、問題起こっていない?」などと細かいフォローが入ることになります。
では、なぜそのような巧拙が生まれているのでしょうか?

だれも教えてくれなかった、PM力の重要性

世の中には様々な業界がありますが、その中で特にプロジェクトマネジメントの考え方や手法が発展してきた業界がいくつかあります。代表例は土木・建設業界でしょう。太古より人類は世界中で建造物を作るプロジェクトを繰り返してきた訳ですから、その業界の方々がそのマネジメントにも長けているのは当然です。また、IT業界などでもその重要性が近年認識され、広く導入が進みつつあります。
では、それらのプロジェクトマネジメント先進業界以外ではどうでしょうか。職業柄、私は様々な企業の方々と関わってきましたが最も驚くのはPM力のバラツキの大きさです。同じ業界、同じ企業であっても、人によって大きな巧拙があるのです。そして、多くの場合、その差は、プロジェクトマネジメントの体系化された考え方やテクニックが「この世に存在している」ということを知っているかどうかによって生まれているのです。
皆さんが仕事や日常生活の中で常にプロジェクトマネジメントに取り組む必要があるにも関わらず、ほとんどの場合、学校や企業の新人研修でその考え方やテクニックを教わることはありません。また、上司や先輩からプロジェクトマネジメントと言うキーワードを聞く機会もほとんどないでしょう。そのような状況の中、何かのきっかけでPM力の重要性に気付いた方だけがそのスキルを身に付け、おおいに役立てているのです。例えば、スケジュールの引き方ひとつとっても様々な勘所やテクニックがあり、それらを習得することで、モレがなく実現性も高いスケジュールを短時間で引くことが出来るようになるのです。
「そうだったのか・・・。いまさら勉強しても、もう追い付けない?」
いいえ、やはり心配ご無用です。小難しい話ではなく、皆さんがこれまで無意識のうちに行ってきたプロジェクトマネジメントのやり方を一度キチンと整理し、論理的な視点から考えてみれば良いのです。もしかしたら連載の中で目新しい手法が出て来るかもしれませんが、じっくりと見れば、今まで頭の中で何気なく組み立てていた考え方がより効率的な形で示されているだけに過ぎないことが分かるハズです。

これから、皆さんと一緒にプロジェクトマネジメントについて、急がず、慌てず、基本から考えて行きましょう!
今後ともお付き合いの程、よろしくお願いいたします。

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弘中 伸典
1994年、徳山工業高等専門学校情報電子工学科を卒業。 SIベンダーに入社後、数々のシステム開発の現場で活躍。そこで得た多くの経験に感謝しつつも、IT業界における構造的問題に一石を投じるべく株式会社アイ・ティ・イノベーションに参画。問題の原因は、プロジェクトマネジメントの欠如にあると考え、日々のコンサルティング業務を通じてその必要性を訴え続ける。 専門領域は、プロジェクトマネジメントおよびシステム開発プロセスの標準化、PMOの設置と運営、IT投資マネジメントなど。 責任と誠意を持って問題解決に取り組む姿勢を大切にしている。 PMP(Project Management Professional)資格 保有

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