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プロフェッショナルとしての経験の裏づけ - 直観力

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 私の所属しているゴルフクラブで、時々プレーするゴルフ仲間であるC氏は、しばしば、テレビやマスコミで話題になる有名シェフであり、経営者でもある。 中華料理のシェフとしても一流であるが、ゴルフの腕前もアマチュアとしては、最高だろう。仕事も趣味やスポーツも一生懸命やって、成果の出ている人は、間違いなく人格も良いし、謙虚である。人の話も良く訊くし、明るい。
 
 そのC氏が、プロフェッショナルとしての経験や拘りが無いとわからない料理の真髄について教えてくれた。C氏が経営するレストランチェーンは、既に有名で繁盛しているが、最近、あるテーマの料理で郊外型の店舗展開に挑戦している。経営者としてレストランの味に拘ることは当然であるが、開店の際には、自ら厨房に立ち奮闘する。成功させるために現場で最大限の努力をする。テレビや雑誌では、温厚な成功者として映るC氏は、この時ばかりは、鬼になる。プロフェッショナルとして全知全能を使う。拘りと経験からくる才能を使う。自らの手と目と口で事業の現場を取り仕切る。

 美味しい料理をお客様が食べているかどうかは、店内の音で判断できるということだ。人は美味しいものを食べて感動する際には、上品におとなしく食べることは無いそうだ。もし静かであれば、何か問題がある。それが何かを見極める必要があるという。「ざわざわ、くちゃくちゃ、かちゃかちゃ、あははっ・・・」などと、騒がしい、笑い声や食器のこすれる音などが、混ざって厨房まで聞こえてくる。新店舗にやってくるお客は、最初は、有名シェフのC氏の店は、どうなのかな?など、疑いを持ってやって来る。食べて納得するまでは、半信半疑のようだ。有名ブランドだけに顧客の求めるものも高い。顧客の納得、満足は、実際に食べて感動するまで生じない。経営者、料理人としては、万全にやってきたつもりでも心配だ。料理だけでなく、店のすべてが、その対象になる。

 新規の展開の際には、C氏と現場が、一緒になって成功できるようあらゆる改善を行う。その際、「プロの直感」を使う。これがあるからこそプロなのだ。いい加減なことは、絶対しないし。妥協もしない。さらにスピード感(アジャイル)があるのだ。

 ここ2、30年の日本の有名中華レストランは、中国本場の味を日本風にアレンジして味を作ってきた。しかし、最近では、中国本土の食文化の変化にアンテナを張っているそうだ。近年、中国の中産階級が、新しい富裕層として増加し、衣食住の嗜好が変化してきている。この新しい流れを再度、中国の本土でキャッチし、日本の新しい中華料理の流れを創って行こうというものである。今や食文化の発展は、相互に関係している。一流の料理人は、こんなことにも気を使っているわけである。トップが、現場に行って今後何が必要か確かめることが、もっとも大切なことだ。時代を先取して、変革を実現した事業が生き残る。

 ITの世界もまったく同じだ。プロとしての努力量と経験に裏打ちされた直観力を持っていることが重要だ。プロには、間違いなく持っている「努力して自分のものにした直感力」がある。誰かが教えてくれるものではない。自分で掴んだ何かを持っている筈である。

我々は、C氏のような判断力、直観力を鍛えているだろうか。

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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