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サルでもわかるTOC/CCPM(第二回)

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「ゴールをイメージする」

何事をするにおいて必ず「目的・ゴール」というものが存在していると思います。
今年プロ野球で日本一になったジャイアンツの原監督の頭には「日本一」という言葉が明確にゴールとして存在していた事でしょう。

この「ゴールをイメージする」という作業。意外とプロジェクトを運営する上において非常に重要な作業である事をご存知でしょうか?TOC/CCPMでも当然「ゴールをイメージする」事を重要視しております。今日はそのあたりのお話をしたいと思います。
そもそもプロジェクトにとってのゴールとは何でしょうか?

  • 品質を保ち納品する事?
  • 業績を向上させる事?
  • 利益を獲得する事?
  • 楽しく過ごす事?

その他にも色々あるかとは思いますが、概ね理想としている状態へのステップか、まさに理想の状態そのものである場合が多い事でしょう。

さて、今回このコラムをお読みいただいている方で、プロジェクトにおいてのゴールを明確に定義した事がある方はどれくらいいらっしゃいますか?
「私は、常にゴールを明確にしてからプロジェクトに取り掛かっているぞ!」という方もいると思いますが、「なんとなくプロジェクトをスタートさせ、最後は何となく日時が納品日になり完了する」なんて方もいると思います。(事実、私自身もTOC/CCPMに出会うまでは後者でした)

例えば、ある会社のシステム部門に属している大柴さんが上司と新規開発中のシステムについて打ち合わせを行っております。

大柴さん 「ボス、今月からNEWシステムをメイクするって言うけど目的はWhat?」
上司 「画期的なERPシステムを導入する事ですよ」
大柴さん 「Why?画期的なERPシステムが本当に必要なの?」
上司 「画期的なERPシステムを導入する事で業績アップする筈だからです」
大柴さん 「ボス、従来のERPシステムではNGなの?」
上司 「今の会社には画期的なERPシステムを導入する必要があるからです」

この二人のやり取りは明らかにプロジェクトのゴールが曖昧な状況といえます。同じ土俵に乗って会話をしているとは到底思えませんね。大柴さんは従来のシステムで十分と考えていますが、上司は画期的なシステムにしなければならないと考えています。お互いのERPシステムに対する思いが十分に共有されていないプロジェクトといえますね。

このようにゴールを設定するにも様々な視点があると思います。財務面での視点であり、社会貢献での視点であったり、顧客の視点であったりとまだまだ他にもありますね。そんな中、ゴールを明確にしようとすると色々な視点がごちゃ混ぜになり分かりにくくなることもしばしばあります。
そこで、TOC/CCPMでは以下のポイントに着目して「ゴール」を設定していただくようにご推奨しております。その名も「ODSC」と呼びます。

「ODSC」とは英単語の頭文字をとった俗称であります。
OはObjectives (目的)、 DはDeliverables (成果物)、 SCは Success Criteria(成功基準) という三つの略称になります。

一つ目のプロジェクトのObjectives(目的)は何でしょうか。
成果物を作り上げることが目的とお答えになる方もいますが、それは違います。
プロジェクトのゴールはすなわち企業のゴールにつながる必要があります。そこで企業のゴールとは何かと考えると多くの場合、成果物ではなく時間当たりの利益額が重要視されます。そのような視点での目的を記入しましょう。また成果物が完成した事によって影響が受ける状態なども当然目的に含まれます。

二つ目はDeliverables(成果物)。
具体的に要求されている成果物を定義する項目です。
目に見えるある商品や製品であったり、社内のルールやその他規定であったり。
また成長した新人君なども成果物です。
まさにプロジェクトを成功させる上で完成させる必要のある成果物を定義するという事になります。
三つ目はSuccess Criteria (成功基準)の定義。
成果物を作りあげ時間当たりの利益額を多く獲得するためには、様々な成功基準をみたさなければなりません。その成功基準を明確にする必要があります。またプロジェクトの評価にもつながる基準も同時に設定する必要があります。定義していくときには各要件が○か×ではっきりとわかる表記の仕方か、数値で宣言する方がより分かりやすいです。
例えば、以下のような項目などが明確な成功基準といえる

  1. ○年○月までに納品し、利益額を○○万円以上獲得している
  2. プロジェクト終了後に社長賞を受賞する
  3. 新人の○○君が業務知識を得て社内試験に合格する      などなど

このようにODSCを明確にイメージしていき、プロジェクトのゴールを明確にしておく事でメンバー同士の意思疎通などに役立てる事が出来ます。
ODSCを定義するメリットとしては、プロジェクトの関係者で統一のゴールを明確にすることで無駄な作業を減らす事が出来ます。「本当に必要な事は何なのか?」「この機能が本当に目的を達成させるために必要なのか?」などなど多くの仕様変更などを未然に防ぐ事が出来ます。
また、プロジェクト開始時には仕様が確定できないといったプロジェクトであってもその事をODSC作成フェーズで共通認識を構築しておけばその後の対応がスムーズになり、プロジェクトマネージャー・メンバーの遭遇する変更があいつぐ理不尽なプロジェクトを減らす事が可能になります。

というわけで「ゴールを明確にする」 = 「ODSCを作成する」という事の大切さをご理解いただけましたでしょうか?
「ODSCを作成する」という事は、今すぐにでもできるプロジェクトを円滑に進める便利なツールです。是非とも今自分が携わっているプロジェクトのゴールをODSCに描いて状況を再確認してみては如何でしょうか?もしかしたらゴールに対して不必要な機能を作成する事に頭を悩ませている事に気がつくきっかけになるかもしれませんね。

今回の「サルでもわかるTOC/CCPM」はここまで。是非、参考にして頂けたら幸いです。

-以上-

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Profileプロフィール

井阪 宣之
井阪 宣之
井阪 宣之(いさか のぶゆき) 株式会社 日本アドバンストシステム 2001年に株式会社日本アドバンストシステム入社。ソフトウエアの営業として顧客へ膝を突き合わせる営業で独自のスタイルを確立。2006年よりTOC-CCPMを活用した営業を開始し、プロジェクトマネジメント支援の実績を重ねる。現在は、各現場にTOC-CCPMをインプリメントする活動を中心にTOC-CCPMの普及活動に邁進している。

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