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サルでもわかるTOC/CCPM(第四回)

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「一夜漬け」
(1) 一晩だけつけて食べる漬物の事。
(2) 急場の間に合わせにする仕事。にわか勉強。
(3) 歌舞伎で、社会のできごとをすぐ脚色して上演すること。
※広事林 第六版より引用

私にとって「一夜漬け」はやめられないですね~(笑)
皆さんはどうですか?「一夜漬け」
特にあっさりしたナスの漬物は美味しいですよね(笑)

「???」

もしかして私が(2)の「急場の間に合わせにする仕事」をやめられないと勘違いしていませんか?
まぁ確かに私もTOC/CCPMに出会うまでは(2)の仕事に対する一夜漬けも大好きでした(笑)

学生時代などでもテスト勉強を期日に向けて準備する事がなかなかできなかったクチです。
気がつけば1週間前とか前日でバタバタの状態(涙)
ただ、ここでちゃんとすればいいのに直前になりながらもついついテスト勉強しようと思っても「部屋の模様替え」をしたくなったり、「掃除」をしたくなったり、「漫画」を1巻から全部読みたくなったりという怠け者な奴でした(苦笑)
皆さんも「あったあった」って感じる人もいませんか?

実際なんでこんな事が起こるかというと人間の心理的部分に関係しているのです。

「人は与えられた予算と時間を使ってしまう生き物である」
こう言われてある意味納得しませんか?
年度末には予算を使い切るべく道路工事をしたり、夏休みの宿題をギリギリまでできなかったりとか、人がいればいるだけ不必要な仕事をわざわざ見つけて仕事をする事など。こういう状態の事をパーキンソンの法則といいます。

パーキンソンの法則とは、1957年にロンドンにて発表された法則です。
その法則とは、「役人は仕事量に関係なく年間5%~6%の割合で増加する」というものです。
仕事の量と役人の数は何ら関係もなく、仕事が増えようが、なくなろうが、そんな事はお構いなしに役人の数は増大する。さらに増大するとお互いに仕事を作りあい、さらに雪だるまのように増えていくという法則です。

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この法則、我が日本の役所でも多く行われていそうな気がしますね。そうじゃないとつい先日のあの事業仕訳作業での「バッサリ廃止」に説明がつかないのではないでしょうか?
まぁ事業仕訳の事は置いておいて、「人は与えられた予算と時間を使ってしまう生き物である」という点についても当然プロジェクトでも該当します。この問題についてTOC/CCPMを使って改善のきっかけを作りたいと思います。

例えば、ある会社にいる大柴さんのメンバーに仕事の見積を依頼しています。

大柴さん 「このジョブってYouがメイクするとHow many days?」
メンバー心の声『この作業と同じ事したことないんだよな。わからないけど5日くらいかな?』
『いや待てよ。前もそう言って答えて納期ギリギリになって大変だったから余裕みて倍の10日くらいにしておこうかな。』
メンバー 「頑張って10日ですね!」
大柴さん 「Why?10days?」
メンバー 「いろいろリスクとかあるんですよ! (本当はわからないけどね)」
大柴さん 「Oh No!これではウォリードするな・・・」

こういう事ってプロジェクトをする上で多かれ少なかれありませんか?
当然TOC/CCPMを使ってバックワードスケジューリングした所で各作業に「安全余裕」が入っていたら納期に間に合うものも間に合いません。気が付いたらめちゃめちゃ長い工程表が出来ていて納期に間に合わない状態になっています。
なぜなら各作業に「安全余裕」が入っている事でそれぞれの作業自体に「パーキンソンの法則」が発動するからなのです。

今回の例でいっても大柴さんのメンバーは10日で作業する事を認めてもらいたいという希望を持っていますね。ただ、仮にその見積日数を認めたところでもこういう事が起こりえます。

  1. 着手するタイミングが遅くなり、約束の10日に間に合わない
    これは、自分自身5日で出来上がると思っている余裕があるので初めの数日間はノータッチで過ごして4日目くらいから本腰入れてみて納期に間に合わなかったケース
  2. 着手を早めにするが、早く出来上がっても出来上がった事を報告しない
    これは、10日後には完成しているのですがせっかく早く仕上げても当日まで丁寧な仕上げをして報告しないというものです。なぜなら「早く出来上がりました」と報告しても次回からの見積を厳しくされるだけだし、メンバーにとってメリットがないのです。

結局、上記の理由から各メンバーは自分の作業に対する見積日数をより多く獲得する事に注力するでしょう。それは各メンバーが「約束を破りたくない」という責任感からきている発言なのです。
みんながみんな「自分の作業時間に安全余裕」を入れていたら工程自体が長くなってしまいます。
どうすれば、「安全余裕」を取り除き工程を短くする事が出来るでしょうか? 

それは、みんなの安全余裕をプロジェクト全体で管理するようにすればよいのです。
ここでTOC/CCPM的考えで改善していきましょう。

まず、作業の見積を2つしていただきます。
ABP 「厳しいがなんとかできる日数」といわれるAggressive But Possible
HP 「まぁこれくらいあれば大丈夫だろうという日数」のHighly Possible。

このABPとHPを各作業単位で算出していただきます。
その数字が出ましたらHPからABPをマイナスした日数を「安全余裕」と定義します。

次にそのそれぞれの「安全余裕」をプロジェクトの一番最後に集約します。
最後に集約されたプロジェクト全体の「安全余裕」を半分にカットします。
この結果、HPで引かれた工程表から比較すると75%の工程表が完成いたします。
言葉では分かりにくいので図にしました。

isaka_chart091207b

この工程を短くする見直し作業では、当然作業するメンバーからの反発とかもあるでしょう。
あと、「うちの会社に余裕なんかないよ」っていう意見もあると思いますが、一度だまされたと思ってこのABPとHPを算出してCCPM的なスケジュールを引いてみる事をお勧めします。
そうする事で作業が自然と前倒しになってくると思います。仮に遅れてくるという状態になってもそれはみんなのから集めたプロジェクトの安全余裕が守ってくれるという事です。

というわけで「安全余裕」の配置の仕方がいかに重要かお分かりいただけましたでしょうか?
当然、プロジェクト全体の安全余裕をどう管理するのかが非常に重要です。
この続きは次回にご説明させていただきたいと思います。

今回の「サルでもわかるTOC/CCPM」はここまで。是非、参考にして頂けたら幸いです。

-以上-

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井阪 宣之
井阪 宣之(いさか のぶゆき) 株式会社 日本アドバンストシステム 2001年に株式会社日本アドバンストシステム入社。ソフトウエアの営業として顧客へ膝を突き合わせる営業で独自のスタイルを確立。2006年よりTOC-CCPMを活用した営業を開始し、プロジェクトマネジメント支援の実績を重ねる。現在は、各現場にTOC-CCPMをインプリメントする活動を中心にTOC-CCPMの普及活動に邁進している。

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