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【第13回】 計画を実行する。

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前回は、一人ひとりが主体的に自分の能力開発を考えるスタイルをご説明しました。
実は計画を立てる上で、もう少し考えておかなければいけないことがあるのですが、計画の中で説明するよりも、計画を実行する場面を考えながらご説明した方が分かりやすいので、とりあえず次に進めて見ましょう。
さて、部下から提案された能力開発を確認して計画がOKならば、次は、計画を実行する段階です。

それでは、後は部下に主体的に能力開発を行ってもらって、自分は自分の仕事に専念しましょう。...というわけにもいきませんね。マネージャは、部下をきちんと指導しなければいけません。 “きちんと指導する。”
言うのは簡単ですが、どうすればきちんと指導したことになるのでしょう。

ここでいきなり「指導のあり方」や「指導の手法」を考え始めると、目的を見失って技術論におちいってしまいます。
ちょっと立ち止まって、指導した結果を考えて見ましょう。

  • 部下に対して指導を行った結果、部下はきちんと職務を遂行し成果を上げます。
  • もちろん、成果達成のために必要な能力もきちんと獲得します。

そのためにマネージャは部下を指導するわけです。
但し、そのために必要な行動は計画として合意しています。
計画のときにアドバイスもしているでしょう。
基本的に、部下は自分に足りないものを得るためのチャレンジを主体的に行います。
従って、マネージャはいきなり指導するのではなく、部下がきちんと目標に向けて行動できているか観察し、問題があれば指導すると言うことになります。

さて、ここでありがちな問題は、部下が主体的に行動することさえ難しいレベルの場合です。
これは、新入社員の時にだけ起こる問題ではありません。
中堅社員や時にはベテラン社員でさえ、自分に与えられた職務を遂行するのに、どう振舞って良いか迷うことがあります。
特に、今までやったことが無いような仕事や責任が与えられた時にはそうなります。
そんな時に主体性を求めても難しいのは仕方がありません。
そんな時のために研修があるのですが、研修で教えてもらえないようなこともありますし、研修によっては、理屈は分かっても、仕事の中でどう振舞うかまでは教えてもらえないものもあります。(実はそういう研修って結構多いのですが)

そういう時は、いきなり新しい仕事にチャレンジする前に、実際の仕事のやり方や振る舞いを上司や先輩から教えてもらう必要があります。
つまりOJTということになります。
この時に、以前何度かご説明した「方法論」が役に立つわけです。
自分たちの方法論があれば、自分たちの都合の良いタイミングで部下や後輩を指導することができます。
一般的な研修では難しいジャストインタイムトレーニングが可能になります。
ある程度仕事の進め方や振る舞いを理解したら、実際にやって見るのですが、それでも始めのうちは近くにいて、必要に応じて直ぐに指導できる体制が必要です。

さて次の段階は、一度は指導を受けながら仕事をやったことがあるが、独力で仕事を遂行するのはまだ難しいかもしれない時です。
できれば主体性にできる所はやって見て、助言が欲しい時に直ぐに相談できる体制です。

その次は、一通り独力で遂行できる仕事について、次の段階に進むことを考えます。
つまり、部下や後輩の指導ですが、ここが意外と難しいのです。
自分では思うとおりに仕事ができるようになった人材でも、部下や後輩の指導となると別物です。
今まで多くの技術者を見てきましたが、部下や後輩の指導が苦手なタイプって意外と多いようです。(もちろんそうではない人材もいますが、私は苦手なタイプでした)
人間は、自分が良く理解していることを人に伝えるのが難しい、という研究結果もあるようです。

技術者として優れているかと、指導者として優れているかは別のものです。
しかし、技術者もいずれ多くのメンバーと一緒に仕事をするようになり、その中でリーダー的な立場を担うようになれば、当然、指導者としての態度や能力を求められるようになります。
それ以前に、他人に分かりやすく自分の考えを説明できる能力は、指導的立場でなくとも必要になります。
これは、どちらかと言えばヒューマンスキルの獲得が重要になる場面です。
ですので、その時期の人材を指導するマネージャは、ヒューマンスキルを指導する能力が求められます。
テクニカルスキルでは問題の無い人材でも、ヒューマンスキルでは、かなり初歩的な指導が必要な人材もいます。

さて、これらの指導方法は、OJTのやり方を説明したものです。
ですので、簡単にOJTといっても、どのような形でOJTを進めるのか計画の時にある程度見極めておく必要があります。
そこまで考えると、望ましいOJTが実施できるということになるでしょうか。
面倒ですね。分かります。私がかつてOJTを受けた時は、OJT=仕事の状態だったと言って差し支えない状態でした。
それと比べると、・・・でも、そんな教え方に不満を感じていたなら“自分がやる時にはもっときちんとやりたい。”と思いますよね。

さて、これらのOJTのやり方とは違った観点で、考えなければ行けないテーマがあります。
ある程度独力で仕事を遂行できるようになった人材でも、手放しで能力開発を任せられるとは限りません。
当人が気付いていない問題点を指導し、改善しなければいけない時もあります。
これは、仕事に必要な技術を指導するよりも、仕事の中での態度や発言に対する指導で必要になる時が多いのですが。

普通はそれほど考えずに、問題点を指摘して改善を促すだけで良いのですが、時に難しい状況になることあります。
問題点を指摘した時に反発するような場合です。
色々な状況や原因が考えられるのですが、そのような時の指導方法は、状況によって変えて必要があります。
この記事の中で指導方法を簡単に解説することも難しいのですが、できればコーチングについて学習して見てください。
幾つか重要なポイントをかいつまんで説明すると以下のようになります。

  • 自分が観察した事実に基づいて会話する。
    部下や後輩の問題点を指摘する時に、“あなたのここが問題だとXXさんが言っていたよ。”と切り出すと、当然のことながら反発を生みやすくなります。
    自己主張が強い人やプライドの高い人に問題点を指摘する時、自分に反発が返って来るのが怖くて、ついついこう言ってしてしまう時があるのですが、返って逆効果になることが多いのです。
    “XXさんは何も分かっていない。”と切り返されると、その後の指導がほとんど不可能になってしまいます。
  • 自分の判断や感想から伝えない。
    問題のあった部下を呼び出して、いきなり問題点を指摘するのは、まずい場合もあります。
    上司、部下のような支配的な関係であれば、すんなり受け入れられることもあるのですが、時には当人の事情を理解してあげることが必要なことも多くあります。
    問題のあった事実は指摘する。(事実です。それに対する感想ではありません。)でも、なぜそのような態度や発言を取ったのかは当人に聞いて見る。といった順番です。

いかがでしょうか。とりあえず2つだけご紹介しましたが、コーチングではもっと多くのことを学びます。
紹介した内容もこの説明だけでは充分ではありません。
数年前から、コーチングに関する書籍が急に増えたようですので、マネージャの立場の方は是非一度呼んで見てください。

いかがでしょうか。
細かい話をするともっと色々なことがあるのですが、これだけでもおなか一杯になりますね。
そして思うのは、指導する立場の人間もまた、多くのことを学習し指導者としての能力を身に付ける必要があるということですね。

まだ道のりは長いです。

と言うことで、次回は、「計画を評価する」というテーマに進めてみましょう。

それではまた。

(つづく)

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