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【第16回】段取りの五:体制図を作成する

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段取りの五つ目、今回はプロジェクトの“体制図”を作成します。
体制図を作る目的は、プロジェクトに参加するメンバーとそれぞれの役割、そしてメンバー間の指揮命令系統を定義することにあります。
ほとんどの読者の方は会社などのなんらかの組織に所属され、普段の仕事の中でのご自身の役割や、上司や部下との指揮命令系統が決まっていると思います。しかし、プロジェクトは新たなチャレンジ活動であり、普段の定常的な仕事とは別に新たなプロジェクト体制を構築する必要があるのです。
従って、プロジェクトの体制がしっかりと明確化されてないと、必要な指示や報告がうっかり伝わらなかったり、意思決定に時間がかかったりして作業ミスや効率低下の原因になってしまうのです。

体制図の書き方

プロジェクトの体制図だからと言って、会社の体制図や地域行事の運営体制図などで皆さんおなじみの体制図と書き方は変わりません。それでは、早速プロジェクト体制図の例を見てみましょう。

図1 プロジェクト体制図の例
hironaka_chart100817_1
この例は、山田さんがプロジェクトをマネジメントし、そのもとでメンバーが2つのチームに分かれて作業を進めるというプロジェクトの体制図です。

この図であまり馴染みがないのは “プロジェクトスポンサー”という役割でしょうか。会社などの組織の中でプロジェクトを進めるような場合には、ほとんどの場合この例のように“プロジェクトスポンサー”という役割がプロジェクトマネジャーの上に必要となります(“プロジェクトオーナー”や、“プロジェクト統括責任者”などといった呼び方をする場合もあります)。これは、組織の中でプロジェクトを実行することを承認する(つまり、組織に所属するメンバーや組織のお金など、いわゆる経営資源をプロジェクトに投入することを判断する)役割を持ったメンバーのことです。例えば会社の場合だと。自社の経営資源をコントロールできる役員や部長などの役職に就いている社員がこの役割を担うことになります。

そして、この体制図によってチームやメンバー構成の他に、図2のような指揮命令系統が表されていることを確認してください。

図2 体制図の例(図1)で表されている指揮命令系統
hironaka_chart100817_2

このように、プロジェクトの体制図ではメンバーは「誰の指示に従えば良いのか」、「誰に報告すれば良いのか」というルートも定義することができるのです。特にプロジェクトの体制図では「箱と箱が線で結ばれていない」、「複数の線が箱から同じ方向に出ている」など、指揮命令系統が曖昧になってしまうことがないように注意しましょう。

役割を明確化する

皆さん、前回ご説明したスケジュール表には何が書かれていたか覚えていらっしゃいますか?
そうです、「誰が、どの作業を、いつからいつまで実施するのか」が書かれていました。これと図1のような体制図があれば、プロジェクトの各メンバーの役割は大体決まったことになります。

ただし、実はプロジェクトではスケジュール表に書いた作業以外にもやることがあるのです。それは、例えば「作業中に何か問題が起こった場合に対策を立てて実施する」などといった、あらかじめ計画できないような作業のことです。そのようなことを誰が責任を持って実施するのか、これらの資料ではまだ十分に明確化できていないのです。
そこで、体制図を作成した後に“役割分担表”という表を作り、チームやメンバーの役割をさらにしっかりと明文化することが有効になります。「う~ん、イマイチ誰がどのような立場なのか曖昧だな~・・・」と感じたら、図3のような役割分担表を作成されることをおすすめします。

図3 役割分担表の例
hironaka_chart100817_3

いかがでしょうか。この表を書くのも読むのもちょっとだけしんどいのですが、特にプロジェクトの活動に慣れていないメンバーや、新しく一緒に活動するメンバーが多いプロジェクトの場合にはここまで役割を明らかにしておくことがミスや効率低下を防ぐことに繋がります。

次回は、プロジェクトにおけるコミュニケーション方法の計画に進みます。
乞うご期待!

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Profileプロフィール

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弘中 伸典
1994年、徳山工業高等専門学校情報電子工学科を卒業。 SIベンダーに入社後、数々のシステム開発の現場で活躍。そこで得た多くの経験に感謝しつつも、IT業界における構造的問題に一石を投じるべく株式会社アイ・ティ・イノベーションに参画。問題の原因は、プロジェクトマネジメントの欠如にあると考え、日々のコンサルティング業務を通じてその必要性を訴え続ける。 専門領域は、プロジェクトマネジメントおよびシステム開発プロセスの標準化、PMOの設置と運営、IT投資マネジメントなど。 責任と誠意を持って問題解決に取り組む姿勢を大切にしている。 PMP(Project Management Professional)資格 保有

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