プロジェクトは未知への挑戦ですから、途中で様々な“問題”がどうしても発生するものです。
“問題”とは、プロジェクトの目標達成に影響を与える、既に発生した(または発生することが確実となった)事象であり、もちろんこれを放置しておく訳にはいきません。
プロジェクトマネジャーは発生した問題をしっかりと把握し、有効な対応策を迅速に講じて、影響を最小限に留めなければなりません。今回はそのための管理方法を見ていくことにしましょう。
管理用の一覧表を作る
まず、問題と対応状況をプロジェクトメンバーと共有するための“一覧表”を作りましょう。
表の主な項目としては、以下のようなものを並べます。
(1) 管理番号
(2) タイトル
(3) 問題の内容
(4) 問題の提起者
(5) 問題の発生日
(6) 対応策
(7) 対応策の責任者
(8) 対応策の期限
(9) 実施状況
(1)は一覧表に登録した問題を識別するために割り振る番号、そして(2)~(5)は問題の事象、(6)~(8)は対応策を記入するための項目です。
まぁ言葉では分かりづらいでしょうから、図1で例を見てみましょう。
どうでしょう?意外にシンプルですよね。プロジェクトによってもっと複雑な表を利用するケースもありますが、これだけの項目があれば基本的な管理は十分可能です。
発生した問題を把握し、対応策を決定する
それでは、早速一覧表を使って管理してみましょう。
まず、プロジェクトで新たに問題が発生していないかを把握する必要があります。
多くの場合、問題の影響は作業の遅れとなって現れてきます。従って、前回ご説明したプロジェクトの進捗を確認する際に、その遅れの原因を追求することによって多くの問題を発見することができます。
ただし、プロジェクトに重大な影響を与えるような問題については、定期的な進捗確認のタイミングを待たず、すぐにキャッチしなければなりません。メンバーには、そのような問題が発生した場合には即座に報告を行うよう、あらかじめ周知しておくことも必要となります。
問題が発見できたら一覧表の①~⑤の項目を記入し、さらにその場で対応策まで決めて⑥~⑧まで埋めてしまいましょう。もしその時点で問題の根本的な解決策まで決められなくても、少なくとも初動の対応策(例えば、まず問題の影響度拡大を食い止めるための策など)として、いつまでに、だれが、どのようなアクションを実行するのか明確にしておくことが重要です。
対応策の実施状況を確認する
決定した対応策は、その問題が解決するまで実施状況を定期的にチェックします。進捗の確認と同様、最低1週間単位では確認するようにしましょう。
具体的には、未解決の問題について一つずつ対応策の責任者に状況確認し、その結果を一覧表の⑨の項目に記載していきます。もし問題が解決していると判断した場合には、例えば図2のように背景色を変更するなどして判別できるようにしておくと分かりやすくなります。
もし対応策の実施がなかなか進まない場合、未解決の問題がどんどん積み上がっていくことになります。そのような場合には、作業を一旦止めてでも問題点の解決を優先してメンバーに動いてもらう、実施状況を責任者に毎日確認してフォローするなどの手を打ち、中途半端な状況をズルズルと引きずらないよう注意が必要です。
今回は、プロジェクトにおける問題と対応状況を確認するための方法を見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
冒頭にも書きましたが、“問題”が発生することはプロジェクトにおいてはある意味当然のことと言えます。犯人探しにはあまり意味がありませんし、逆に問題が隠れてしまうことになりかねません。プロジェクトマネジャーとしては、「次々と発生してくる問題に、プロジェクトが一体となって立ち向かう」という姿勢を持ち、オープンな状態で管理ができるよう行動することも重要なポイントになります。
それでは次回もお楽しみに!