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【第32回】リスクの状況を確認する

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今回は、プロジェクト実施中どのように「リスクの状況を確認するか」というテーマです。

プロジェクト計画時にあらかじめリスクを洗い出し予防策を組み込んでおくことの必要性は以前お話しましたが、それで安心してはなりません。
活動が進むと様々な状況が変化しますし、計画時には見えていなかった部分も徐々に明らかになってくるものです。従って、プロジェクトが開始された後、継続的にリスクの状況を確認しながら、必要な手を打ち続けていくことが重要になるのです。

それでは早速ですが、具体的な確認方法を見ていきましょう。

何を確認するか
リスクの状況は3つのポイントで確認します。

まずは、「新たなリスクが出ていないか?」というポイントです。
プロジェクトが進むことによって生まれたり明らかになったりしたリスクがあれば、計画時と同じように影響度や発生確率を分析し、予防策や発生時対策を決定する必要があります。また、予防策はプロジェクトの計画に組み込んで今後の活動に反映しておきます。

2点目は、「リスクへの予防策がうまく機能しているか?」というポイントです。
計画に織り込まれた予防策の実行が進んでいない、または実行されたものの結局十分な効果がなかったという場合がありますので、そのような状況に陥っているリスクがないか確認を行い、予防策の見直しやテコ入れを行います。

最後のポイントは、「すでに挙げられているリスクに変化がないか?」について確認することです。
特に重要なのは、「リスクが顕在化していないか」という確認で、「これはもうリスクではなく、すでに起こってしまった“問題”だ!」と判断されるものは、第25回でお話した「問題と対応状況を確認するための管理表」に内容を移し、発生時対策を具体的なアクションとして実施します。
http://www.it-innovation.co.jp/2011/01/25-174013/

また、リスクの影響度や発生確率が変化する場合もあります。「影響度が下がった」などという時はまだ良いのですが、影響度が大きくなったり発生確率が高くなったりするケースもあり、この場合は追加の予防策や発生時対策の強化を検討することが必要になるため、要注意です。

いつ確認するか

この3つのポイントを用いて、例えば毎週1回といったペースで定期的に関係者を集め、そこでリスクの確認を行うのです。
ただし、リスクの確認のためだけに毎週1回メンバーを集めると結構大変ですので、通常は進捗ミーティングという形式を取り、作業の進み具合や問題への対応状況などとあわせて確認する方法がおすすめです。
もしくは、プロジェクトの状況がそれ程頻繁には変化しないようなプロジェクトであれば、毎月1回とか、プロジェクトの重要な節目毎とか、タイミングを絞ってまとめてリスクの確認を行う場合もあります。

確認した結果はどうするのか

このようにして確認された結果はリスクの一覧表に反映しておきます。
この時、予防策が効いてリスクとしてもう確認しなくても良くなったもの、顕在化して問題・対応状況一覧表に移されたものについては、背景色を変更するなどして判別できるようにしておきます。これによって、次回リスクの状況を確認する際に対象として見るべきリスクが分かりやすくなります。

図1 確認結果のリスク一覧表への反映例
hironaka_chart110913

おろそかにすると泥沼に!

このようなリスクの状況確認を怠っていると、新たなリスクが見過ごされたり、予防策が十分に機能しなかったリスクが顕在化したり、次々と問題を引き起こしてしまいます。こうなるとプロジェクトマネジャーは発生した問題の対応で手一杯となってしまい、それによってますますリスクの確認が困難になってしまうという負のスパイラルに陥ることになりかねません。

問題化する前、つまり「リスクがリスクであるうち」に危険の芽を摘んでおけば、このような労力を最小限に抑えることができることを覚えておいて下さい。

それでは次回もお楽しみに!

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Profileプロフィール

弘中 伸典
弘中 伸典
1994年、徳山工業高等専門学校情報電子工学科を卒業。 SIベンダーに入社後、数々のシステム開発の現場で活躍。そこで得た多くの経験に感謝しつつも、IT業界における構造的問題に一石を投じるべく株式会社アイ・ティ・イノベーションに参画。問題の原因は、プロジェクトマネジメントの欠如にあると考え、日々のコンサルティング業務を通じてその必要性を訴え続ける。 専門領域は、プロジェクトマネジメントおよびシステム開発プロセスの標準化、PMOの設置と運営、IT投資マネジメントなど。 責任と誠意を持って問題解決に取り組む姿勢を大切にしている。 PMP(Project Management Professional)資格 保有

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