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グローバルなIT人材育成の現状

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 以前よりIT人材のグローバル化は求められてきていますが、ここ数年、その必要性は加速度的に増してきていると感じています。そこで今回のブログでは、グローバルなIT人材育成の現状について、一般的な分析ではなく、私が様々なお客様と接し感じていることをお伝えします。

さて皆さまの企業では、グローバルなIT人材の育成について、どのような課題認識を持たれ、どのような対策を講じられていますでしょか?

ユーザー企業のシステム部門、システム子会社、SIerによって、その内容は異なっているように感じています。

◇ユーザー企業のシステム部門
 システム部門のグローバル化という観点ではなく、システム部門を含めた企業全体のグローバル化に沿って、システム部門に所属する人材のグローバル化を推進しています。
 システム部門個別の事情はあまり考慮されないため、当該企業が海外展開している事業を如何にオペレーション出来るのか?という観点が重要視されます。
 よってグローバルなIT人材育成に関する課題と対策は、次のような取り組みが多いように感じます。

 【主な課題】
 ・教育は語学中心、実践力は現場に赴任し実務を通じ習得するスタイルとなるため、IT人材の育成という観点が会社全体としては希薄。

 【主な対策】
 ・システム部門が期待できる人材に対し、個別に短期間のIT短期留学に派遣。
 ・本やセミナー等を通じた自己研鑚。

 【対策を講じた結果から生じる課題】
 ・会社の人材育成計画に沿った育成とはなっていないため、対策の効果をたまたま享受できた人だけが育つ。

◇システム子会社
 事業はITであるため、親会社のシステム部門とは異なり、経営者の方針次第でグローバルなIT人材の育成に力を入れることは可能です。しかし親会社の意向が強く働くため、親会社のグローバル展開と歩調が合っていない過度なグローバル化に対しては、親会社から嫌煙される傾向があります。嫌煙されると、場合によってはグローバル人材の育成に掛けている投資を抑制されます。
 よってグローバルなIT人材育成に関する課題と対策は、次のような取り組みが多いように感じます。

 【主な課題】
 ・IT人材のグローバル化の育成計画を立案しても、経営者の確固とした信念を持ち得ていないと、親会社のグローバル化に影響され方針が迷走する。
 ・その結果、体系的な育成とはならず、場当たり的な対応となる。

 【主な対策】
 ・グローバルな環境でも活躍してほしいと思う人材に対し、個別に短期間のIT短期留学に派遣。
 ・本やセミナー等を通じた自己研鑚。
 ※主な対策は、ユーザー企業のシステム部門の内容と同じ。

 【対策を講じた結果から生じる課題】
 ・会社の人材育成計画に沿った育成とはなっていないため、対策の効果をたまたま享受できた人だけが育つ。
 ※主な課題は、ユーザー企業のシステム部門の内容と同じ。

◇SIer
 国内におけるIT投資は成長傾向にはないため、企業の生き残りをかけようとするとお客様の海外展開に合わせ海外でも戦えるようにするしかない状況です。一方で国内においても、オフショア開発を前提とした予算感で見積りすることを求められるため、海外と関係なく事業をすることはもはや出来ない状況にもあります。
 そのため経営としても、真剣にグローバルな環境で事業を推進できる人材の育成が急務となっています。しかし過去に入社した人材は、そのような観点で採用してきていなかったことや、長年国内のみで閉じた環境で仕事を進めてきたため、特にグローバル化に対する管理職層の反応が鈍い会社を多く見かけます。
 よってグローバルなIT人材育成に関する課題と対策は、次のような取り組みが多いように感じます。

 【主な課題】
 ・企業として必要なグローバルな環境で戦うIT人材像を定義できない。
 ・IT人材のグローバル化の育成計画を立案したいが、どのように計画したらよいのか分からない。
 ・その結果、体系的な育成とはならず、場当たり的な対応となる。

 【主な対策】
 ・グローバルなIT人材の育成に寄与しそうな語学やITの研修を探し、試験的に社内導入。その評価を見ながら、より良い育成プログラムに成長させてゆく。
 ・海外のIT企業に社員を派遣し、現場で実践力を養う。
 ・本やセミナー等を通じた自己研鑚。

 【対策を講じた結果から生じる課題】
 ・育成の取り組みは試行錯誤。しかし企業側に育成のPDCAを正確に回すノウハウを有していない場合も多いため、正しく回し切れていない。
 ・育成がもたついていると、経営からすると育成を待っていられない。よって育成ではなく、即戦力となる日本人以外の人材採用の傾注度が高まる。

 以上のことから、まだまだ育成に関しては試行錯誤の段階であると感じています。
 しかし試行錯誤を延々と実施している余裕はありません。

 その時にユーザー企業のシステム部門、システム子会社、SIerそれぞれの企業は、どのような経営判断を下してゆくのか、今後の数年で、これまでの数年以上にドラスティックに変化するのではないか、そのように感じています。

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竹内博樹
1991年 筑波大学卒業後、三和銀行のシステム子会社である三和システム開発株式会社(現、三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社)入社。同社にて銀行業務のリテール、法人、国際の各分野において、大規模プロジェクトにおける企画・設計・開発に、主にプロジェクトマネジメントを実行するマネージャとして携わる。また開発後の保守にも従事するなど、幅広い業務でマネージャとして活躍。2004年より当社にて、大規模プロジェクトにおけるPMOの運営およびプロジェクトマネジメント支援や、IT部門の組織改革等、幅広くコンサルティングを手がける。 保有資格:情報処理 プロジェクトマネージャ、PMPほか。PMI会員、PM学会会員。

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