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グローバルITアーキテクトを養成しアジアのITの融合、高度化を実現する

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経済的な発展に歩調を合わせ、ここ数年の間にアジアの新興国のITレベルの高度化が進行している。私が、注目しているのは、シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイなどの東南アジアの国である。

日本では1970年代から90年代にかけて、その経済的発展とともに多くのITシステムが、導入されてきた。日本のITは、ハードウェア、ソフトウェアの両面ともに、自作であること、よく工夫されていること、という大きな特徴がある。また、日本では、あらゆる分野で、多くのITシステムを開発、導入、運用を行うことで発展してきた歴史と実績があり、例えば、製造業や社会インフラ領域では、しっかりとしたシステムを、手間をかけて丁寧に導入し、長期にわたって運用(使い込んできた)してきた。新幹線の運行システムなどを代表とする高度な運用と、きめの細かい工夫されたシステム、金融機関、物流、製造業の生産管理など洗練されたシステムノウハウなどが代表的なものであろう。

一方、アジアの新興国でのITは、初期からオープンシステム、インターネットの活用、携帯やモバイルコンピューティングなどの新技術を前提として発展してきており、標準化、生産性の確保、グローバル化が実現している。これらは、欧米の最新テクノロジーを知る人材によりデザインされ、導入されている。この地域では、複数の国にまたがったビジネスが展開されていることから、英語圏で試された新しいアーキテクチャやアジャイルなどのメソドロジーの適用もまた自然に進んでいる。同時に、この地域では優秀な人材がITの世界に身を投じ、活躍している。
ある面では、日本より東南アジアのITの方が、進んでいるといえる。また、これから先も大いに発展が期待できる。
とはいえ、私からみると、東南アジアで導入されているシステムのデザインやコンセプトは、確かに素晴らしいが、運用ノウハウの蓄積と工夫の面では、「まだまだこれから」という状況でもあると感じている。

日本のITは、これまでの努力とノウハウ蓄積のたまもので、如何に、最新技術に移行しビジネスの俊敏性を高めるかが、今後の大きなテーマである。
これに対して、東南アジアの課題は、ITに関する運用ノウハウの蓄積と、急速に発展するビジネスとの歩調を如何にして合わせていくか、というところにある。
更地に新しい街を設計し、建物を設計思想に合わせ目的合理的に建築していく場合(アジアのIT)と、古い町の良さを残しつつ、その制約の中で最新の科学技術を取り入れブラッシュアップしていくことで漸進的に新しい町に変わっていくこと(日本のIT)、に似ているともいえるのではないだろうか。

さて、現在、私は両者の良さを融合できないかと考えている。日本のITのビジネス活用ノウハウと東南アジアのITパワーの”いいとこ取り”を画策している。この”画策”を仲介するのが、アーキテクチャに関するフレームワークであり、知識体系(Body of knowledge)である。ITの設計に係わる言語を統一し同じ言葉でシステムをデザインすることが、鍵になると考えている。

これらを実現する第一歩として、私はITAbok※を活用してシステムをデザインするスキルを向上させるために、日本におけるITのアーキテクチャに関する知識体系を普及させると同時にITアーキテクトの養成を進めていくような組織を設立することを決めた。ITアーキテクト養成に関心のある会社や個人に声をかけ、来年の7月を設立の目途として準備を進めているところである。

※(IT Architecture Body of Knowledge:ITAのNPOであるIASAがITAbokの体系化とアーキテクトの認定を行っている)

ITのアーキテクチャに関しては、日本では、EAの導入という形式で数年前に何社かが取り組んだが、結果としては、企業内にスキルのある人を創れなかったという理由で、失敗に終わっている。
新しいIT文化の導入に、避けては通れないものは、スキルの獲得である。ITを活用しようとしている企業側に、ITアーキテクチャの高いスキルを持った人を養成しなければならない。なぜなら、

”何が欲しいか”
”なぜそれを必要とするのか”
”どのようにそれを実行するのか”

このようなキーとなる考えを明文化し、関係者に適切に説明するのは、導入側であるユーザーの役割・責任であるからだ。

世の中には、様々な文化があり、様々なアイデアがあり、様々なビジネスが、様々な国に存在する。アイデアをビジネスに取り込み、構造として明確にするのが、ビジネスとITをつなぐアーキテクトの役割のひとつである。この「構造として繋ぐ」技術を使い、アジア新興国で適用されている技術やパワーと、日本のアイデアやノウハウをつないで行く。
このコンセプトを実現するためには、ストレートに結果を求めるのではなく、同じ概念、同じ言葉、同じ方法論を勉強し、実行できる人創りから始めるのが、本筋だと私は考えている。

さあ、「はじめの一歩」を見極め実施しましょう。

追伸)
本年から来年にかけて様々なイベントを計画しております。
来る12月10日のITIフォーラム東京では、このアーキテクチャについて、IASAのファウンダーでありITAbokの執筆者であるアーロン・タンダーニ氏を招聘し、講演会を実施します。
本年も是非、フォーラムにご参加賜りますようお願い申し上げます。

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Profileプロフィール

林衛
林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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