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EA(Enterprise Architecture)の形

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年明け最初のブログは、企業という目に見えない物の“かたち”についてお話したい。少し抽象度が高いがご容赦願いたい。この姿、形をどのように表現するかについては、長年、多くの学者や団体が研究を重ねてきた。結果、今日のZACHMAN(John Zachman、EAの生みの親)やTOGAF(The Open Group Architecture Framework)などのフレームワークが存在する。今回はモデルの説明は割愛し、その目的効果について考えてみたい。

目に見えない“企業”を無理やり物体に例え、その姿を無理やり描くとどうなるだろうか?アメーバのようなグニャグニャの姿や、ゴツゴツと尖った多面体を想像する人など様々だ。しかしどのような形にせよ、企業という物体としての共通点や、同一産業分野での類似点がある事に異論はないだろう。裏を返せば、このような類似点は“企業”を表す際の再利用可能なパーツ(部品)になり得ると言える。

挿絵2

TOGAFによれば、企業連続体(Enterprise Continuum:エンタープライズ・コンティニュアム)とは基盤構造→共通システム構造→産業別構造→組織特性構造と、その特徴が継承された連続体と定義されている。また、各々にアーキテクチャ連続体(論理構造)とソリューション連続体(物理実装)がペアで存在している(図1参照)。そして、企業システムの設計に際して部品の再利用性を検討するにあたっては、上記の流れを逆にさかのぼり、より汎化することで再利用性を追求することになる。このように企業の形は、世界中で同じ物は2つと存在しないが、その分類の仕方によって数多くの類似性を見出す事が出来、再利用可能な部品の集合体として表すことが可能となる。

ここで読者の方の中にはピンときた人がいるのではないだろうか?“かつてパッケージシステム導入の際に、企業をこのようなアーキテクチャ連続体として意識したであろうか?”という反省である。「少なくとも、幾つかを意識した上で実装ソリューションに至った」という企業はまずまず合格である。そうでなく「ベンダーの薦めるパッケージ・ブランドを何となく選択し、構築段階で自社との違いをひたすらカスタマイズした」という企業も少なくないのではなかろうか?

第1回ブログで“まだ企業システムはコモディティではない“というお話をした。あまりに乱暴なパッケージ導入手法は、膨大なカスタマイズ費用とともに再利用不可能なモンスターを作り上げる結果となり易い。パッケージ/スクラッチを問わず、産業分野はもとより組織の特徴や強みをきちんと分析した上で再利用可能な形としてシステムに実装し、グループ企業への展開やM&Aに備えたいものだ。その為には、企業体の可視化に際しての正しい手順が必要である。そして、この企業体の可視化の延長線上にこそ、企業の競争力を支援できるシステム部門のプロフィットセンターとしての姿が見えてくる。

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中山 嘉之
1982年より協和発酵工業(現、協和発酵キリン)にて、社内システムの構築に携わる。メインフレーム~オープンへとITが変遷する中、DBモデラー兼PMを担い、2013年にエンタープライズ・データHubを中核とする疎結合アーキテクチャの完成に至る。2013年1月よりアイ・ティ・イノベーションにてコンサルタントを務める。【著書】「システム構築の大前提 ― ITアーキテクチャのセオリー」(リックテレコム)

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