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適材適所その2(エンタープライズHUB)

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今回は前回に続き“適材適所その2”として、エンタープライズ・システムにおける“適材適所“アーキテクチャを実装するソリューションをご紹介したい。ちなみに、本ソリューションはユーザ企業で構築されている実例である。

過去のブログでも触れているように、エンタープライズ・システムは企業毎に異なる顔を持つ。そしてその特徴を分析すると、ビジネスの業種、業態による共通項を見出すことができる。またその特徴は、各々のLOB(Line of Business の略;販売物流、SFA、生産管理、会計、人事などの基幹業務アプリケーション)に表れる。例えば、研究開発の占める割合が大きな製薬メーカの場合は、R&Dアプリケーションが重厚であったり、食品メーカの生産管理アプリケーションでは、原料から製品に至るトレーサビリティ機能が必須であったりすることなどがこれに相当する。
enterprise-hub エンタープライズ・システムにとっての適材適所とは、このLOB毎の最適システムを組み合わせたものという事になる。決して、全てのLOBに世界最高の緻密なシステムをマッピングする必要はない。むしろ不必要に複雑系システムを適用することはマイナス面が多い。分かり易く表現すればメリハリあるシステム構成ということになる。

LOB毎に適材適所なシステムを組み合わせた(ハブリッドな)システムは、一体成型の(モノコックな)システムよりも企業特性を反映することが容易である。しかし一方で、LOB毎のアプリケーション・システムがサイロ化し、LOB横断で共通利用すべきデータが二重三重の管理となる危険性がある。この共有データを一元管理する仕組みが必要であり、そのソリューションが各LOBを間接的に結合するエンタープライズ・データHUBである(図1)。エンタープライズ・データHUBは、マスタとトランザクションの2種類のDBを保有し、いずれもLOB横断で共通利用されるマスタ(組織、得意先、製品など)や、トランザクション(製品出来高、売上・受払い、売上原価など)が格納される。なお、マスタはそれぞれ異なるレコードデザインを持つが、トランザクションは5W1Hを基準にレコードデザインは限りなく汎化され、淘汰された数種類となる。

各々のLOBが市販パッケージ・システムの場合を考慮し、エンタープライズ・データHUBとのインターフェース部分にコード、データ、レコードの変換機能を備えている。このように、各LOBはエンタープライズ・データHUB上のDBを経由して、お互いのデータを蓄積交換することになる。登録と参照を非同期に分離した“疎結合アーキテクチャ”は拡張性と柔軟性に優れており将来の永続性を保証している。そして、自社オリジナルのデータモデルを中核に据えたこのアーキテクチャの最大のメリットは、完全なるベンダーロックインとの決別である。これにより、システム・サービス提供者側の都合に左右されることなく、自社のシステムを運営することができる。クラウドサービスが登場した昨今ではアプリケーションのみならずインフラストラクチャもベンダーフリーとなる。
※次回以降で、エンタープライズHUBの構成要素であるマスタHUBとトランザクションHUBのそれぞれのメカニズムについて順を追ってご説明することにしたい。

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Profileプロフィール

中山 嘉之
中山 嘉之
1982年より協和発酵工業(現、協和発酵キリン)にて、社内システムの構築に携わる。メインフレーム~オープンへとITが変遷する中、DBモデラー兼PMを担い、2013年にエンタープライズ・データHubを中核とする疎結合アーキテクチャの完成に至る。2013年1月より(株)アイ・ティ・イノベーションにてコンサルタントを務める。

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