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フレームワークの思考法

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1 はじめに

ももいろクローバーZの2014年5月7日発売の新曲を聴きながらこのブログを書いている。聴く方の年代や経験にもよるのだろうが、刺さる歌詞というのは、やっぱり刺さるし、泣ける。ただ、こんなに知名度のあるももクロだが、CD自体の初回売上枚数は前作割れとのことである([4]より)。そう考えると、CD売上枚数というのは、人気の「基準軸」にはなり得ない時代なのかな、、と思えてきた。なんとも難しい。

さて今回は、前回の続きとしてStrategy思考の基本的ツールの一つとして「フレームワーク」について述べる。特に、単なる既存の有名フレームワークの説明ではなく、その必要たる理由と、「作り方」について述べたい。

2 フレームワークとは

IT系の業務についていると、フレームワークというとどうしてもソフトウェア・フレームワークを思い起こすかもしれない。ただ、ITの業界だと、そのせいかフレームワークという言葉に抵抗感は無いようだが、それ以外の業界や世間一般的には、まだ浸透していない場合も多い。実際7~8年程前に、お客様に対しその言葉を発したとたん「フレームワークってなんですか?」と言われたことがある。最近はさすがに認知度は上がっていると思うがどうなのだろう。

まず「フレームワーク」とは何か。

端的に言うと「思考の枠組み」であり、対象の属性の組み合わせで表現される。
事象とはそもそも複雑なものだが、そのある部分を切り出して、体系化したものである。
そして、誰でも何に対しても、考える方法について「基準となる軸」がないと考えにくい。それを明確に見えるようにすることで、すっきり整理されるし、他の人との理解も一致しやすくなる、という利点もある。

フレームワークの例はたくさんあるのだが、例えば以下のようなものである。
PPM、5W2H、3C、4P、QCD、SWOT、5-Force、BSC、PDCA、PEST、AIDMA、・・
もっというと、マズローの要求段階説、なぜなぜ5回、マインドマップなども広義には含んでいいのかもしれない。(*1)

もちろんこれらの有名フレームワークは、有名な論文や雑誌で紹介されたり、コンサルファームを通して多くの人に利用されたりして、それでいて効果的と認められたから、残ってきたわけである。それに、英数字3-4文字程度のが多いが、多くの人が覚えやすいように、キャッチーな愛称というのも重要のようである。

3 フレームワークを作ってみる

ただ実際の現場ではどうだろう。
例えばIT企画の現場で、ダイレクトにPPMやBSCを使うことが多いのかな?という疑問はある。
そんなにぴったりとプロダクトやサービスのポートフォリオをマネジメントすることがあるのか?とか、メンバーの学習から内部活動、顧客視点、財務活動まですっきり関連づけられることが多いのか?とか、思ってしまう。特にIT部門の方々にとっては、(一部の)戦略系システムを除いて、多くはいまだにコストセンター的な情報システムを扱うことが実際には多いだろうから、PPMやBSCがそっくりそのまま利用できるとは考えがたい。

そこで個人的には思うのだが、無いなら作ってはどうか? である。
多くの有名なフレームワークはいくつかに分類できる。(⇒図1)

  1. マトリクス型・・ある対象に対して、複数の基準軸をクロスさせて、各分類とその理解法や対処法などを明示したもの
  2. 図式型・・・・・複数の「対象」を体系的に関連させて、理解や分析を容易にしたもの
  3. 属性列挙型・・・ある対象に対する属性や要素を抜け漏れの無いように列挙し、分析や視点を明確にしたもの

フレームワークのパターン

この中でマトリクス型のフレームワークなら、「基準軸」が複数あれば比較的容易にできるシロモノである。なお、3軸になった場合は工夫が必要である。4軸以上になると、結構難しい(*2)。

ぱっと思いつくレベルだが、例えば以下のようなものである。

「出力帳票社内利用頻度」×「リリースしてからの期間」=「廃止帳票決定フレームワーク」
「顧客からの信頼度」×「その顧客からの収益性」=「顧客対応決定フレームワーク」
「わくわくする」×「知的好奇心の充実度」=「1週間の活動バランスフレームワーク」
「朝起きた時の気分の良さ」×「昨日の飲酒有無」×「昨日の労働時間大小」=「会社休暇決定フレームワーク」

下から二つ目は、1週間の活動を見て、「楽しいこともあればつらいこともある」という当たり前のことを可視化し、つらいことも頑張る!ために役に立つかもしれない(笑) そして、最後のは冗談である(笑)。

気軽に「基準軸」を考えて、その枠組みに応じて対処法(どうするべきか)などをあらかじめ考えて、現実世界に適用して分析するという流れである。オリジナルのフレームワークを作り、例えば社内説明の資料などに含めると説得力が増すかもしれない。

また、前回のStrategyの思考法でいう「環境分析」「ドメイン設定」において、フレームワークをツールとして使えばすっきりできる。そこでも、既存のものの適用がちょっと難しい場合に、オリジナルを作ってみて頂くのもいいかなと思う。

【補足】
ちょっと考えると、「その基準は『測れるもの』なのか?」という課題にぶつかると思う。誰もが理解できる「測り方」が必要となる。
例えば「顧客からの信頼度」などどう測るか。あくまで例だが、その顧客からメールなどで色々なことを相談される頻度などがあてはまるかもしれない。また「出力帳票社内利用頻度」を「件数」としてしまうと、帳票の固有事情(1年に1回しか利用しないなど)があるため、適切な基準ではないだろう。場合にあわせ、説得力のある「測り方」の導入が必要である。

4 終わりに

ここまで書いていて、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のテレビ版最終話の1シーンを思い出してしまった。主人公に対し他の登場人物が語りかけるシーンである。

自由な世界。その代わり、何もない。あなたが考えない限り。
不安なのね、漠然とし続けている。何も考えられない。
不自由をやろう。
(線が引かれる)
ほらこれで「天地」ができた。
でもこれで自由が一つ、消えた。
だが、これで君は安心する。自分のこころが少し楽になった。
あなたがとらえている、現実の形なのよ。

思考という行為それ自体は、確かに「不自由」であるかもしれない。だが、現実をとらえるには何かしらの「基準軸」に沿った「線」が必要であるということであろうか(*3)。

最後に、この流れで最初に述べたももクロの場合を考えたい。かなり気軽に、やってみた。
「知名度」×「ライブ動員」=「アーティスト人気(≒収益性)分析フレームワーク」
にて、ももクロは現在は右上に位置する。(⇒図2)

MCZ

ただ、ももクロの生い立ちを知っている人ならわかるはずだが、別に彼女たちは当初から知名度があったわけではない。結成最初は路上ライブ中心で、つまり左下に位置していた。それからソーシャル(口コミ)の力で徐々に知名度が広まっていき、日本青年館→中野サンプラザ→よみうりランド とライブのハコが大きくなり、動員数がハイスピードで上昇していく。

そして、さいたまスーパーアリーナ規模でライブができたのが2011年末だが、その当時もマジョリティ(一般大衆)での知名度は高くなかった。つまり、未だ右下だったということとなる。それから右上に遷移したのは、多くはプロモーションの力によるものであるが、すでに「下地」があるから”テイクオフ”は容易だった -と今なら分析できる。多くのアイドルプロデューサーからすると、非常に理想的な展開である。

ただ他グループ(組織)にこの結果に基づいた戦略ストーリーを適用したら必ず同じようになるのか?といえば、答えは否である。
次回からは、Strategyのもう一つの軸である組織論について語っていきたい。

注釈:
(*1) 一つ一つは説明できないので、ネット検索するなどして確認してください。なお、コンテンツの一部は私が通う夜間大学院での講義内容を一部参考にさせていただきました。謹んでお礼申し上げます。
(*2) つまり4次元になるのだが、人間の通常思考レベルを超えてしまい、逆に「不自由」になりすぎて利用価値が下がるのでおすすめできない。
(*3) このシーンの解釈については多くの議論があり、どれもあり得る解釈ばかりである。私の説明はそれらに比べると相当貧弱かもしれませんが、ご容赦ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました!!!

参考文献
※URLの最終アクセス日は何れも2014年5月16日
[1] Wikipedia 「フレームワーク」 http://ja.wikipedia.org/wiki/フレームワーク
[2] 大石 哲之、『フレームワークはビジネス力の基本』、All About(2005) http://allabout.co.jp/gm/gc/295347/
[3] 十川廣國(編集)、『【経営学イノベーション】2 経営戦略論(第2版)』、中央経済社(2013)
[4] 日刊サイゾー(2014年5月12日)、『ももクロ新曲は“前作割れ”5.5万枚発進……「握手会なし」でライブ動員重視か?』、株式会社サイゾー http://www.cyzo.com/2014/05/post_17128.html
[5] 『NEON GENESIS EVANGELION Vol.08』、キングレコード(2003)

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Profileプロフィール

東崇城
東崇城
2015年2月末で退職いたしました。 本人の了解を得て、ブログはしばらく掲載いたします。 (株式会社アイ・ティ・イノベーション/コンサルタント ■大阪府枚方市出身 ■1997年 京都大学 農学部農林経済学科(現 食料・環境経済学科)卒業 ■アビームコンサルティング、日本IBMにて、主に証券、保険系のシステム開発プロジェクトにて要件定義から設計、開発、テストまで広く多く経験を積む。2008年より当社にて、主に通信系企業の品質管理支援、マネジメント支援、組織活性等のコンサルティングを担当 ■情報処理技術者試験(プロジェクトマネージャ、ITストラテジスト他)、品質管理検定1級。都内の夜間大学院にてMOTを学ぶ ■日本ITストラテジスト協会(JISTA)正会員 ■趣味は水泳、数理プログラミング、サブカル鑑賞 ■目指すは「歌って踊れるPMO」)

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