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「歴史に学ぶ」

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私は、事件をテレビや新聞などの報道で知ったとき、「それは、何故起こったのか?」原因は、何か、背景は何かについて考える。特に国際的な事件は、報道されている内容が表層的な事実のみで、“真因”については、殆んど語られていない。
私は、読み物は、ノンフィクションが、好きである。特に歴史は、面白い。何故、面白いかといえば、史実として残っているものには、背景があり原因と結果がある。鉄砲伝来、本能寺の変、大政奉還、太平洋戦争の勃発、・・・などの一点のみに着目すれば、起こった事実はひとつであり、直接の原因と直接の結果がある。しかし、どの事件でも、起こったことの真実は、唯一であるが、その事件をどう解釈するかは、人によって様々である。解釈が人によって違うのは当たり前の話だ。人は、そもそも違う個性を持っており、人生観、経験により解釈が違ってくるものである。様々な経験を持った人が、異なった解釈をすること、それ自体に大きな意味を感じる。そして、意見を交わすことが面白い。

先週、私は、「小説 上杉鷹山」で有名な、童門冬二さんの「なぜ一流ほど歴史を学ぶのか」(青春新書)という本を手にした。文中に「歴史は繰り返すのではなく」「歴史は繰り返さない」のだとある。童門さんは、さらに「歴史はくりかえすのではなく、新たに生まれたものである」再生ではなく創生なのだといっている。そっくりな現象が現代で起こった場合、同じ現象を生まれさせたのは、現代に生きるわれわれ自身なのだと。童門さんは、歴史に興味を持ち、歴史を理解することは、「歴史を現代に生かす」ということにつながっていくと主張している。まさに、そのとおりだと思う。

私は、30年以上のあいだIT組織やITプロジェクトに関連した仕事に携わってきた。そこには当然ながら多くの問題や課題があったのだが、振返ってみると、それらの仕事上の問題を歴史上の事実と同じように捉えて対応してきたのだと改めて気がついた。
プロジェクト上の大きな問題に直面した場合には、以下のような観点で情報をつかむ。

0.背景を理解する
1.今起こっている事実は何かを明らかにする(ひとつしかない)
2.直接の原因は、何か
3.直接の結果は、何か
4.遠因、真因は何か(根本的な原因)
5.結果は、どこまで影響するか、放置したらどうなるか
6.最後に対策を検討する

さらには、過去に似たようなプロジェクトは、あったか?その際にどのように対処したのかを調査する。そして、複数の人が、調査にかかわり、それぞれ人の解釈を聞きまとめていく。真因、影響まで含めた評価と対策を明確にする。関わった人が、納得できる内容まで磨いていく。

歴史“に”学ぶ(歴史“を”では無い)ということは、その人の人生観や考え方に大きな影響を与える。同様に、プロジェクトをただ仕事としてこなすのではなく、プロジェクトに学ぶという態度を持つことだ。そうすれば、プロジェクトはその人に取って貴重な経験(単なる仕事という経験ではなく)となり、様々な教訓を汲み出す深い井戸となるだろう。

歴史を通じて多くの学びがあることをわれわれは、知っておかなければならない。

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Profileプロフィール

林衛
林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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