CIOの思考

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1 はじめに

もう8月も終わろうとしている。どことなく「ワニとシャンプー(*1)」ではないが、楽しかった夏を思い出しながら宿題をしないと・・という気分になる。もういい歳なのだが(笑) この夏の余韻を味わいつつ、新たなステージへの準備を、と行きたいところであります。

さて今回はCIOについて語りたい。実は「ITストラテジスト CIO」と入力して検索すると懐かしの?記事が見つかった。「CIO向け国家試験『ストラテジスト試験』が2008年秋にも」というものである。

情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験である「情報処理技術者試験」で、2008年秋をメドに「ストラテジスト試験」が新たに導入される。
経済産業省産業構造審議会情報サービス・ソフトウェア小委員会が7月20日に公表した報告書「高度IT人材の育成をめざして」の中で明示された。「経営とIT(情報技術)」について深い理解を持ち、企業などのCIO(最高情報責任者)やそのスタッフ、将来これらの職務を担う人向けの試験が、国家試験として実施されることになる。

出典:IT Pro(2007/08/03)

この2007年の記事を読んだとき、今のITストラテジスト試験とはCIOになるための試験なのだと再認識した。確かにIPAのいうITストラテジストの対象者像を見ると、CIOのイメージそのままである。CIOという単語を使ってはいないけれども。

そこで疑問が生じる。そもそも「CIO」なる職種の人がどれだけいるのか。本当にIT戦略を推進することとなっているのか。IT戦略をきちんと実行するには、CIOの存在、その能力、そしてその企業の状態がどのようである必要があるのか。ちょっとその辺りを掘ってみたい。

2 CIO

CIOとは、言うまでもなくChief Information Officerの略で、日本語では「情報最高責任者」とか「情報統括役員」などと訳され、経営陣の一員として、社内のIT戦略を推進する最高責任者である。主にCEO(Chief Executive Officer)の基で従事する立場にある。

但し、総務省(2014)の調査によると、国内では専任のCIOを設置している企業はわずか2.0%にすぎず、設置していない企業が約80%と圧倒的である(図1)。
CIO国内設置状況

つまり現実的には「私はCIOです」とおっしゃる方は、世の中にはそうそういらっしゃらないこととなる。現実的には「情報システム部門長」が、情報システム戦略を推進、実現する立場であることが多いと考える。

ここで「情報システム部門長」と「CIO」の違いを押さえておく。立場上の明確な違いは、その方が役員や取締役というような、経営企画や経営会議に直接的に関与するポジションなのかどうか、にある。(実態的にはCIOといっても役員とはいえない・・という場合もあるだろうが、ここでは考えない)

確かに単純に考えても、CIOがCEOと密接に関わり合い、相互に知識移転がなされるような関係であれば、IT戦略は経営戦略実現が容易そうに思える。CIOもしくはそれに準じる役職者がいて、CEO、トップと密接にコミュニケーションを取れば、IT戦略の意味や確度が変わってくる。

3 関与のありかたの一考察

ここで海外のジャーナルよりその一部を紹介したい。少し古いが、IT戦略と経営戦略の関係とCIOとCEOが策定プロセスへの関与の有無との関係性を示したものである(Grover + Albert(2003) )。

結論は図2のようになる。この図が示すのは、CIOが経営戦略策定にかかわると、IT計画に経営計画が反映され、競争優位の実現に関連するが、逆にCEOがIT戦略策定に関わっても、それがうまくいかない、ということである(*2)。
戦略的なIT活用の関係性モデル

CIOが経営戦略策定に関わる、、というのは、つまり経営企画会議に参加すれば、その場でITでの実現性を即フィードバックでき、より確実性の高い戦略になるからだろう。また、CIOの企業戦略に関する理解も深まる。(CIOの素養として経営戦略への理解能力があるのは前提である。)よってこの知識移転は容易と想像できる。

但し、CEOがIT戦略に「口出し」するのはIT戦略にはよろしくない?というように思われる。興味深いが、それは何故だろうか?

このジャーナルでは残念ながらそこまでの言及はないのだが(*3)、持てる知見をもって考えてみたい。ちょっとした「頭の体操」として。

(次回へ続く)

注釈:
(*1) ももいろクローバZの夏休み最終日をテーマにした楽曲である。夏休みに対する哀愁と宿題に追われる悲壮との交錯が、誰にでもある共通体験として表現された良曲である。
(*2) ランダムに選んだ1,200社を対象にアンケート調査を実施したデータをベースにしている。
(*3) いくつかの見解を述べて、「未来の研究に託す」とある。

最後まで読んでいただきありがとうございました!!!

参考文献
※URLの最終アクセス日は何れも2014年8月26日
[1] IT Pro「CIO向け国家試験『ストラテジスト試験』が2008年秋にも」 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070801/278830/
[2] 総務省「ICT が成長に与える効果に関する調査研究報告書」(2014)
[3] Kearns, Grover S., and Albert L. Lederer. “A Resource‐Based View of Strategic IT Alignment: How Knowledge Sharing Creates Competitive Advantage.”Decision Sciences 34.1 (2003): 1-29.

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Profileプロフィール

東崇城
東崇城
2015年2月末で退職いたしました。 本人の了解を得て、ブログはしばらく掲載いたします。 (株式会社アイ・ティ・イノベーション/コンサルタント ■大阪府枚方市出身 ■1997年 京都大学 農学部農林経済学科(現 食料・環境経済学科)卒業 ■アビームコンサルティング、日本IBMにて、主に証券、保険系のシステム開発プロジェクトにて要件定義から設計、開発、テストまで広く多く経験を積む。2008年より当社にて、主に通信系企業の品質管理支援、マネジメント支援、組織活性等のコンサルティングを担当 ■情報処理技術者試験(プロジェクトマネージャ、ITストラテジスト他)、品質管理検定1級。都内の夜間大学院にてMOTを学ぶ ■日本ITストラテジスト協会(JISTA)正会員 ■趣味は水泳、数理プログラミング、サブカル鑑賞 ■目指すは「歌って踊れるPMO」)

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