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《03》 首都がなんでも一番とは限らないインド ── R&D人材力で首都圏を越えるベンガルールとプネ

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[執筆:田中 静]

India mapインドでビジネスを展開するならば、まずは首都のデリーへ──。そんな「首都圏=ビジネスの中心」という感覚を多くの日本人はいまだに抱いているように思います。しかし、欧米や中国以上に「分権と多様性の国」であるインドでは、産業によって成長の中心地が大きく違ってきます。

もちろんデリーは政治の首都であり、過去十数年で鉄道・道路等のインフラが最も急速に整備されてきた巨大都市圏です。とはいえ、現地財閥や大企業にとっては今も昔もムンバイこそが商都です。古くから中東、欧州と繋がりが強いムンバイは金融、化学、メディアといったコアビジネスでいまもデリー首都圏を凌ぎます。

◆スタートアップで首都圏を越えるベンガルール

他方、ITを中心とした外資系企業の進出先としては、ベンガルール(バンガロール)、チェンナイ、ハイデラバードの南部三大都市が90年代以降、急速に伸びました。これは南部州に有力な理工系大学が多いことも一因です。各州の中核都市がそれぞれ得意分野を持ちながら分散的に発展する──。これは国土の広さに見合ったインドの理想的な成長スタイルともいえそうです。

こうした分散傾向は海外の有力投資ファンドによる対印スタートアップ出資先にも表れています。スタートアップ企業への過去5年間(2011~2015年)の都市別出資総額では、ベンガルール(311社、約25億ドル)がトップで、デリー(236社、約10億ドル)、ムンバイ(199社、約20億ドル)の順になっており、この三都市が全体の65%を占めています。(参照記事:Top 5 Cities In the Indian Startup Ecosystem

◆外資系R&D人材力ではプネが首都圏越え

外資系企業のR&D(研究開発)人材力では、デリー首都圏を越える都市が二都市あります。2015年の調査(Zinnov Consulting)によれば、インド国内には多国籍企業(MNC)のR&Dセンターは1,165拠点あり、それらに勤務する人員総数は32万3,000人に上ります。このうち拠点数でも人員数でも他都市を圧倒しているのはベンガルールです。同市は456拠点に15万5,000人のR&D人材がおり、実にインドの48%の外資系R&D人材はベンガルールに集中しています。(参照記事:48% of MNC R&D talent is in Bengaluru

では、これに次ぐ第二の都市はどこでしょうか? デリーでもなければ、ムンバイでもありません。アイ・ティ・イノベーションのインド拠点でもあるプネです。プネの外資系R&D人員数は4万300人でデリー首都圏(3万1,000人)を越えています。

近年、プネには米GE、独VW(フォルクスワーゲン)などが巨大なR&Dセンターを立ち上げています。特にVWにとってプネは米国と双璧をなす海外研究開発拠点に位置付けられているほどです。商都ムンバイにほど近くR&D人材が豊富なプネは、「高度人材×ビジネス」という点で「ポストベンガルール」に最も近いインドの都市ともいえるかもしれません。

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