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【連載その6】アイ・ティ・イノベーション18年の軌跡、未来に向けて

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【黎明期(2009年から2012年6月)54歳~57歳】 次の時代への再編

「ITI(アイ・ティ・イノベーション)にしかできない強みの創造。強みの上に強みを築く。」には、どのようにしたら良いだろうか。

 第一の重要な課題は、技術変化を先取りすることである。

 私は、創業するときに、欧米の優れたソフトウェア・エンジニアリング手法とプロジェクト・マネジメント手法を強みとして会社を経営することを決意した。それから10数年が経過し、経営を取り巻く環境は変化していた。ITは、その普及とともに多様な環境を持ちながら、ひとつの複合体になってしまったのだ。それぞれが有するIT環境、例えば企業が所有するITは、それ自体は社会全体と比べればその変化は小さいと言える。基本は変化していないが、ソーシアルネットワークの普及やメールを代表とするコミュニケーションツールが多様になることによって、太平洋に浮かぶ島のようなものであったそれぞれのIT環境が、島に橋がかかることによって実質的にひとつの大陸に成長したようなものだ。そのような環境では、代表的な例で言えば、それぞれのデータがどのように循環し、どのように影響しあっているか、統合的な視点で社会、企業、個人を見る必要性がある。私は、会社設立に際して、欧米の優れたソフトウェア・エンジニアリング手法とプロジェクト・マネジメント手法を強みとして経営することを決意したと先に述べたが、この強みを活かせるように、10年以上かけて社員にもエンジニアリングとプロマネを普及してきたのだが、このような大きな革命とも呼ばれるような変化は、私や社員に対して新たな改革を強く求めるようになった。

 ITが世の中に浸透し、事務の代行や補助に過ぎなかったITが新たなビジネスを生み出すようになった。そしてその影響を受けて、ビジネスもまた変化する。それは、ITソリューションの多様化に伴い、ITデザイン方法もまた変化しなければならなくなった、ということである。更に言えば、変化し続けなければならないし、その変化の因子を予め組み込んでおかなければならないのだ。今までのデザイン方法は全く通用しなくなっていく。そんな時代(技術変化)が到来することが見えた。

 そこで、私は新たなITアーキテクチャへの挑戦を通じて、第一の命題に取り組むことにした。元々私はこの分野にベースをおく技術者であったが、会社設立に際し、当時の環境などからプロジェクト・マネジメントをまずは経営の軸足にすることにしたことは以前に延べたが、その後、会社はビジネス・アナリシスの分野にも技術領域を拡張してきた。ここに至って、そもそもITの変革に必要だと考えていた3つの矢がいよいよ揃うのだと気がついた。会社も成長し、すこしずつその領域を拡げて、やっとITアーキテクチャにたどり着いた。また外部の環境や意識もこれを受け入れてくれる時代が到来したのだとも言える。では、この分野でITIがリーダーシップをとるためには何をすればよいのか?蛸壺やガラパゴスではなく、グローバルスタンダードに従い、業界を変貌させるリーダーになるために我が社でできることは何か?

 そのために何を準備すべきか?創業当初より社員に普及させてきたソフトウェア・エンジニアリング手法とプロジェクト・マネジメント手法を超えて、新たな技術に変移していく為に、会社のベクトルを一本にしなければならないが、どうしたらよいのだろうか!

 第二の重要な課題は、人の問題である。

 元来、人は変革を恐れる。何か新しいことを実行しようとすると必ず抵抗する人が現れる。気がついてみれば、創業13-14年が経過していた。初期に入社したメンバーも私も当然同じだけ歳を重ねている。

 2016年6月6日の日経新聞に「2030年に日本の中小企業が、無くなる?」という記事が掲載されている。2015年時点の日本の中小企業の社長の平均年齢は、66歳だそうである。このままいくと(実際には、そのようにはならないと私は信じたいが)2030年では、社長の平均年齢は80歳前後になるかもしれないということらしい。深刻な社会問題である。

 ITIの創業は1998年で、その時私は43歳であった。この時代の中小企業の社長の平均年齢は恐らく50歳前後であろう。日本社会はこの時代からほぼそのまま時間だけが経過し老齢化した中小企業群となっているといえるだろう。そして、ITIもまた(努力はしてきたつもりだが)社会や経営者の老齢化と軌を一にして社員の平均年齢は上昇を続けている。

 社会構造変化の波に対応すること、つまり、ITIに必要な老齢化対策と女性の更なる雇用への対応策が必要となってきた。強い会社にするということは、技術力やマネジメント力だけではない。ITIに適合した長期的雇用のあり方はどのようなものか、女性と外国人の積極的雇用により社会に貢献するためには何が必要か、いずれも難しい課題であるが、対応は必至と考えるようになった。社会的な動向に逆らってビジネスを行ってもうまくいく筈がない。むしろ変化を先取りするには、いかにあるべきか?会社の何をどう変えればよいか?と悩む方が生産的だ。

 このことが、私に重くのしかかっている。毎年毎年状況は、進んで行く。茨の道であっても進めなければならないと考えた。

つづく

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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