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《11》 ブロックチェーンのハブとなるインドのビットコイン革命

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dscn0198もうすぐインドはヒンドゥー教の新年の祝い、ディワリ(ディパワリ)を迎えます。毎年、10月末から11月初めの新月がその日にあたり、今年は10月30日です。ディワリはいわば年末年始。新年を祝いに人々が里帰りをする年に一度の大型連休(1週間前後)で、一年で最大の商戦期です。

◆スマホと共に急成長するビットコイン経済

ここ数年、ディワリで大きく変わったのがインド人のショッピングスタイルです。これまで欲しいものが手に入りにくかった地方でさえも、スマホが普及したことでネット・ショッピングがしやすくなりました。アドビデジタルインサイト(ADI)が10月に発表した国別調査でも、インドはスマホ経由での企業サイト・ショッピング成約率が平均1.5%と、日本と並んで世界で一番スマホで買い物をする国になっています。

加えてインドでは小口のローンから決済までビットコインの利用者が増えているのも特徴です。これは既存の銀行での借り入れが他国に比べて煩雑であるがゆえ、手続きが簡単で迅速なビットコイン・サービスが重宝されているからです。

◆世界の投資家が注目するインドのブロックチェーン系スタートアップ

とはいえ、仮想通貨のビットコインの普及には認証技術での信頼性の問題が付きまといます。しかし、その大問題のブレークスルー・テクノロジーが目下、確立しつつあります。それが巷で話題のブロックチェーンです。筆者はIT技術者ではないので、ここでブロックチェーンの技術うんぬんなど語れませんが、要は「世界でひとつだけのID」をその場その場で生成できる仕組みがブロックチェーンで実現しつつあります。この技術の応用でもインドはいま最も注目されている国です。

すでに世界の投資家はインドのブロックチェーン系スタートアップ企業への出資を積極的に始めています。例えば、ビットコイン・プロバイダーのユニコイン(Unicoin)は、この9月に150万ドルの資金を調達しました。ユニコインは2013年にベンガルールで設立されたスタートアップで本社社員はまだ30人ほどです。しかし立ち上げ3年弱で13万人のユーザーを獲得し、毎月2万ペースでユーザーを増やしています。

一方、インド初のビットコイン・アプリ企業は、2012年にアーメダバードで設立(本社はシンガポール)されたゼブペイ(Zebpay)です。同社はこの1月に100万ドルの資金を調達したばかりですが、11月までにさらに400万~500万ドルの資金調達計画を投資家たちと折衝中です。ベンガルールで2014年6月に設立されたコインセキュア(Coinsecure)もこの4月に120万ドルを調達し、年末までに350万ドル超の調達を行う計画です。

これら3社はいずれもブロックチェーンを駆使したスマホ経由でのビットコインサービスが投資家に高く評価されており、今後、インドのスタートアップ投資では、いわゆるフィンテック系分野の注目が高まりそうな気配です。

◆金融大手とIT大手も動き出す

フィンテックに活路を見いだすインドITはスタートアップだけではありません。いまやグローバルITの一角を担っているインドの大手ソフトウェア企業各社もこの分野でより大きなビジネスの展開を始めています。

その代表格が業界2位のインフォシスです。10月12日、インド最大の民間銀行であるICICI銀行(ムンバイ)が資産総額でUAE(アラブ首長国連邦)最大の銀行、エミレーツNBDとの間でブロックチェーンによる国際送金・決済サービス業務の開始計画を発表しました。これはインドの金融機関としては初めての試みで、世界でも極めて先駆的なブロックチェーンによる大規模な金融サービスとなりそうです。

このアプリケーションの開発・カスタマイズを請け負ったのがインフォシスの子会社であるエッジヴァーヴシステムズ(EdgeVerve Systems)です。同社はすでにこの4月から同業務の分散型コンピュータ・ネットワーク・システムであるブロックチェーン・フレームワークを試験稼働しており、将来的には他の金融機関向けにもブロックチェーン・ビジネスを展開していく計画です。

◆インド社会とビットコインの高い親和性

それにしてもなぜ、インドでこうした仮想通貨の普及が急速に進むのか? 一言でいえば、いまのインド社会が金融に求めるニーズとビットコインの利便性との親和性が極めて高いからでしょう。ATMさえいまだ普及途上だからこそ、スマホでの迅速かつ容易に決済・送金は他国に比べてニーズが高い。しかも、比較的小口の決済や送金が多い。

さらにインド人は世界中に居住しています。したがって国際決済・送金需要が極めて高い。海外からの送金額でインドは世界最大の国ですし、中国と並ぶ世界最大の金(ゴールド)保有国です。その上、インドは若いIT技術者と起業家の宝庫です。それゆえ新たな技術をビジネス化する企業が次々と現れる。こうした条件がすべて揃った国は珍しい。つまり、インドはブロックチェーンやビットコインといったフィンテック・ビジネスで世界最大の実験場であると同時にそれらの技術開発を担える人材を有した世界で稀有な国なのです。

[参考資料]
Unocoin to Focus on Security Upgrades, Expansion After $1.5 Million Funding Round(2016年10月7日bitcoinmagazine.com)

ICICI Bank becomes India’s first to execute transaction on blockchain(2016年10月12日DNA)

    [執筆:田中 静]

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