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《02》 荒波の中、インド政府の「スタートアップ・インディア」が始動

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[執筆:田中 静]

新年早々、世界経済は底が割れはじめたように波乱含みの様相ですが、2016年のインドはその荒波をまず、「スタートアップ企業」の支援振興で乗り切ろうとしています。1月16日、モディ政権は新たな産業アクションプランとして「スタートアップ・インディア(Startup India)」を発表しました。これは2014年9月に始まった「メイク・イン・インディア(Make in India)=モノづくり現地化振興策」と共に、政権主導で展開される官民共同での若者起業支援策です。

16日に発表された主な行動計画としては、デジタル系企業等の新規設立に対する(1)法人所得税の3年間免除、(2)知的財産・特許取得コストに関わる法的・金融支援、(3)許認可の簡素化、(4)資金調達面での優遇などです。より具体的な政策は1月26日の共和国記念日に合わせて発表される模様で、この「スタートアップ・インディア」を通じてモディ政権は今後2年間で30万人の起業家を育てたい考えです。

 

◆インドのスタートアップ企業が注目される3つの理由

では、インドのスタートアップ・ブームはどれほど過熱しているのでしょうか? 前回お伝えした通り、2015年の投資額の伸びでいえば、インドの未公開テクノロジー系ベンチャー企業への投資額は前年(2014年=22億ドル)に比べて50億ドル超と倍増しました。そうしたスタートアップ企業の中で昨年一年間で1億ドル超の新規調達を得た企業が以下の10社です。

《01》オラ(Ola)=9億ドル。2011年設立(本社ベンガルール)のタクシー配車アプリサービス企業。
《02》ペイティム(Paytm)=8億9,000万ドル。2010年設立(本社ノイダ)のモバイル決済サービス。
《03》フリップカート(Flipkart)=7億5,000万ドル。2007年設立(本社ベンガルール)のECサイト大手。
《04》スナップディール(Snapdeal)=5億ドル。2010年設立(本社デリー)のECサイト大手。
《05》グロファーズ(Grofers)=1億6,500万ドル。2013年設立(本社デリー)のローカルデリバリーサービス。
《06》クイカール(Quikr)=1億5,000万ドル。2008年設立(本社ムンバイ)のモバイル広告大手。
《07》イーコム・エクスプレス(E-com Express)=1億3,300万ドル。2013年設立(本社デリー)のEC物流プロバイダー。
《08》オヨ・ルームズ(Oyo Rooms)=1億2,500万ドル。2013年設立(本社グルガオン)のバジェットホテル検索予約サービス。
《09》プラクト(Practo)=1億2,000万ドル。2008年設立(本社ベンガルール)の医師検索予約サービス。
《10》ゾマト(Zomato)= 1億1,000万ドル。2008年設立(本社グルガオン)のレストラン検索予約サービス。

各社のサイトを参照すればわかるように、これらスタートアップ企業の共通性は「ネットで便利」で、これは日本と変わりません。しかし、日本との大きな違いが少なくとも3つあります。第1には、インドでの暮らしがなにかと不便であるがゆえ、サービスの効果が絶大であること。第2には使用言語が英語であるがゆえ、容易にグローバル展開が図れること。そして3つ目は海外投資家による投資が潤沢だということです。この3つの違いだけでも、インドのスタートアップ・ブームが今後もグローバルレベルで注目されることに納得できるのではないでしょうか。

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