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イノベーション(innovation)


イノベーションは、経済学者のシュンペーターが提示した概念と言われている。彼は経済の発展は漸進的ではなく、企業家の創造的な活動の成功によって飛躍的に進むとした。そしてその創造的な活動をその社会の持っている生産手段(生産に使われる諸資源)の再編成による「新結合」=イノベーションと呼んだ。日本語ではイノベーションは単に技術革新と翻訳されることが多い。しかしシュンペーターにおいては、イノベーションはもっと広義に捉えられ、大きく5種類あるとされている。

1.新製品(財貨)によるイノベーション
それまでに無い市場価値を持った製品が作り出されたり、既に存在している製品でも新しい付加価値や、さらに高度な品質を持った製品が作り出されて革新が起る場合。例えば蒸気機関の発明やIT製品など。

2.新しい生産手段(方法)によるイノベーション
ある製品を作るときにそれまでとは違うやり方で、飛躍的に生産量や品質を向上させることで革新が起る場合。例えばフォードによる大量生産方式による大衆車の生産や、ロボットによる無人化工場、トヨタのかんばん方式など。

3.新しい販売方法・ルートの開拓によるイノベーション
商品やサービスを、それまでの販売方法とは異なる販売の仕方で行うことによって、新たな市場を開拓したり、価格破壊を起して革新が起る場合。例えばコンビニエンスストアの出現やインターネットによるネット販売など。 
 
4.製品の原材料や部品の新しい調達先によるイノベーション
同じ原材料でも非常に廉価な供給先を開拓したり、部品の生産をより低コストで済む仕入れ先に切り替えることで、同じ品質でも低価格で製品を市場に供給することで起るイノベーション。原油の輸入先の変更、海産物の輸入先の変更・漁場の開拓、東南アジアでの工業部品の生産など。

5.新しい組織や産業の担い手の出現によるイノベーション
それまでとは違う作り手による製品の生産や、違う企業同士の結びつきによって、商品やサービスに新たな付加価値をつけたり、生産性を上げることで革新が起る場合。企業の水平連携や、ネットワーク型組織による製品の開発(リナックス)など。

本来のイノベーションは上記のように、人や仕組みの革新までも含んで市場に大きな変化を起す新しいやり方を意味している。ちなみにシュンペーターは企業家とはこのような新結合を起すイノベーターのことを指し、経営管理をする単なる経営者とは区別して考えていたようである。プロジェクトというものは大小があっても組織や社会のそれまでの方式を変えるために行われることが多い。したがってプロジェクトマネジャには企業家と経営管理者の複眼的な視野が必要と言えるかもしれない。

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