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今年強く感じた、システム子会社の経営課題の傾向とは?

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 今の時期は、2014年度の事業計画を決めるため、2013年度の反省、そして事業環境を鑑みた経営方針に基づき、具体的な施策に落とし込むための検討が進められています。
 今年1年間、様々なお客様と接してきた中で、今年強く感じた経営課題の傾向、特にシステム子会社における現状について、今回はお伝えいたします。

 アベノミクス効果で景気は回復していると、各種メディアは報道しております。業種により異なるかもしれません。確かに足元は、そのような傾向も見えてはいます。しかし経営者の財布の紐は固く、これまで以上に成長分野や企業のROI(投資利益率)に貢献しないことに対しては投資をしなくなっています。

 そのような状況の中で、主に親会社の社内システムの開発・運用・保守を担当してきたシステム子会社は、親会社に頼らず「自立」することが、親会社より強く求められてきています。その背景としては、主に次の3点あるかと思います。

・【ユーザーから言われたことをシステム化することの限界】
ユーザーから言われたこと、つまり要件をそのままシステム化するというこれまでのスタイルでは、親会社から見たときに「付加価値」を感じられなくなってきている。

・【親会社からの仕事量が激減する】
社内システムの構築はほぼ一巡し、今後はクラウド化等による運用要員の激減が想定される中で、親会社からの仕事だけでシステム子会社の社員を養ってゆくことは難しい。

・【人材の空洞化】
システムを初めからから構築した人材は、年齢を重ね近い将来現役を引退する。一方でシステムの運用・保守を担当してきた人材は、細かな回収を繰り返してきた経験しかない若手の人材は、システムを初めから構築することがイメージできず、自力ではシステム構築を推進できない。

 このような重大な経営課題に対し、親会社およびシステム子会社の経営者は、次のようなことを検討されています。

・システム子会社に対し大手SIerから出資をしてもらい、大手SIerの傘下に入れる。
 ⇒大手SIerに人材育成を委託、かつ外販の仕事を獲得するチャンスを伺う。

・超上流を担う人材を育成し、親会社に対し提案できる企業に変貌することで、親会社にとって必要不可欠な企業となる。
 ⇒長年ユーザーから言われたことをシステム化することに慣れている人が多いため、ビジネス視点で物事を考え、提案できる人材は極限られている現状の課題解決が急務。

・グローバルな事業展開を進め、親会社に対しては海外現法や現地工場に対するサポート力を強化する。かつ海外のSI企業との提携により、開発・運用コストをダウンすることで、親会社に対する貢献や、外販ビジネスにおける価格優位性を堅持する。

 大手SIerからの出資は、経営判断により実現可能かとは思います。しかしその他の2点は、経営および従業員の力量無くしては成し得ないこと。その実現には、経営者として明確なビジョンを示し、強い決意とリーダーシップが求められます。

 最近、以上のようなお話しをお客様とする機会が増えてきたと感じております。

追伸:
上記の内容にも通じるテーマで、来る12月10日(火)午後、東京・麹町においてITIフォーラム2013in東京を開催いたします。
師走でお忙しいかとは存じますが、ぜひ下記URLよりお申し込みください。
当日、会場にてお待ちいたしております。

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竹内博樹
1991年 筑波大学卒業後、三和銀行のシステム子会社である三和システム開発株式会社(現、三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社)入社。同社にて銀行業務のリテール、法人、国際の各分野において、大規模プロジェクトにおける企画・設計・開発に、主にプロジェクトマネジメントを実行するマネージャとして携わる。また開発後の保守にも従事するなど、幅広い業務でマネージャとして活躍。2004年より当社にて、大規模プロジェクトにおけるPMOの運営およびプロジェクトマネジメント支援や、IT部門の組織改革等、幅広くコンサルティングを手がける。 保有資格:情報処理 プロジェクトマネージャ、PMPほか。PMI会員、PM学会会員。

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