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適材適所その1

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今回は再びアーキテクチャの話に戻り、2回連続物でお届けしたい。アーキテクチャ(=建築様式、構造、構成)を考えるに際して、見た目の美しさと共に重要なのが、構造的な耐久性や人間にとっての利便性である。建物の構成要素が各々の箇所に適した素材で構築され、全体としても機能することが理想である。タイトルの“適材適所“とは、「その人の適性や能力に応じて、それにふさわしい地位・仕事に就かせること」という意味で普段使われるが、その語源は伝統的な日本家屋や寺社の建築における木材の使い分けが発祥である。適材の材は木材のことを指しており、古くは日本書紀にも記述がみられるらしい。

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<以下WIKIPEDIAより引用:豊富な森林に囲まれた日本では、針葉樹・広葉樹など実にさまざまな木材が建築に使われてきた歴史がある。建物を支える柱や梁などにも、実に適切で理にかなった使い分けがなされてきた。例えば土台には腐りにくく耐久性の高い檜(ヒノキ)や栗(クリ)を、内装の一部になる柱には木目の美しくやさしい肌合いの杉(スギ)を、また屋根や二階以上の重量を支える梁には強靭な松(マツ)をといった具合である。また、家具であるたんすには桐(キリ)が最適とされるのも同様である。>

日本には古来より素晴らしいアーキテクチャ(寺社仏閣などの建造物や建築様式)が存在し、そこには“適材適所”という日本特有の細やかなアーキテクチャ・ポリシーが貫かれている。このポリシーは外見の美しさとともに、日本という環境条件に最も適した日本家屋の内部のアーキテクチャの原点である。この4文字熟語はその普遍性から、現代では「人材の適正な配置が良い組織を作る」といった人間系の組織論にまで適用されており、企業組織のみならず団体スポーツの世界でもポジション毎に適した選手起用の意味で使われていたりもする。

欧米でも、建築材料に由来する言葉は見当たらないが、“The right person in the right place.”という人材配置に関することわざがこれに相当する。話は少しそれるが、欧米では近年、ダイバーシティマネジネント(=多様性を活かした創造的管理)なるアプローチが脚光を浴びている。これが意味する本質、すなわち“異なる尖ったものの組合せは、特徴のない平均的な物の総和を時に上回る、又はその可能性を秘めているという事”は、この“適材適所”に相通じるところがある。そして、付け加えるとすれば、そこでの組み合わせ方(コーディネート)のノウハウが極めて重要となる。

さて、この適材適所なるアーキテクチャ・ポリシーの普遍性は、企業情報システムの世界においてもハード/ソフト両面での適用が可能である。なぜなら、企業システムの世界も、建物や組織の世界と同様に、“人間が構築し人間が利用する人工的産物”としての同じ特性を保有しているからである。では、企業システムにこれを適用するとどのようなアーキテクチャが描けるだろうか?次回のブログでは、私が30年間の企業情報システム生活で完成に至った、1つのソリューションをご紹介したい。

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中山 嘉之
1982年より協和発酵工業(現、協和発酵キリン)にて、社内システムの構築に携わる。メインフレーム~オープンへとITが変遷する中、DBモデラー兼PMを担い、2013年にエンタープライズ・データHubを中核とする疎結合アーキテクチャの完成に至る。2013年1月よりアイ・ティ・イノベーションにてコンサルタントを務める。【著書】「システム構築の大前提 ― ITアーキテクチャのセオリー」(リックテレコム)

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