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サルでもわかるTOC/CCPM(第三回)

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「2009年11月22日のXX時頃」
これは何を意味するかといいますと私が今回このコラムで与えられた納期です。
この時間までに私は原稿を仕上げて提出する必要があります。

普段皆さんが、仕事をしている事で上記のように時間軸で管理されている事は良くございませんか?
例えば「顧客先に14時アポイント」という状態になれば、当然14時に間に合うようなスケジュールを計画すると思います。顧客先が渋谷であればそこに至るまでの経路についてインターネットや時刻表などを使って路線検索などを行い、何時に現在地から移動すればよいか考える事って良くありますよね。なぜそのような行為をするかといえば当たり前かもしれませんが、アポイントの時間に目的地に間に合う必要がある事が大前提にしてあるのです。

この予め調べておくという行為。実はプロジェクトを進める上でも至極普通の行為ですよね?当然、TOC/CCPMでもこの「予め調べておく(準備する)」という行為を定義しております。

皆さんはこの言葉って聞いた事ありますか?
「段取り八分」
仕事の段取り(準備)が完全に終わっていれば、仕事の8割が終わったも同然という意味です。

どんな仕事をする上においても「ゴールをイメージ」する事が大切ですが、そのゴールに向かってどのような順路を辿る事が必要なのかを明確にする必要があります。
それをTOC/CCPMでは「バックワードスケジューリング」と呼んでいます。
これも当たり前の事なんですけど、人は普段の生活ではゴールを確認してから「その為には○○しておかなければならない」と考えて計画を練りますよね。
今回の例え話に使った状況の場合
「渋谷の顧客先に14時到着であれば、渋谷駅には10分前には着いておきたいな。」
「だったら最寄りの駅を13時30分の電車には乗りたいな。」
「13時30分に電車に乗るためには5分前に切符を買って・・・」
というわけで人はこのようにゴールに対して多かれ少なかれそれなりに計画をしている訳です。

プロジェクトも全く同じです。
ゴールであるODSCに対してその直前の作業は何だろうと考えてみましょう。

例えば、ある会社にいる大柴さんが今年の忘年会について立ち話を行っております。
大柴さん 「今年のYear-End PartyってWhoがplanningしているの?」
上司 「今年は総務部の新人菊池君だよ」
大柴さん 「まだinformationないけど何かinformationあった?」
上司 「まだないね。どうなるんだろうね。」
大柴さん 「ボス、Mr.菊池にヒアリングしてきます!」

大柴さん 「ヘイ!Mr.菊池!今年のYear-End Partyのplanningはどう?」
菊池君 「開催日だけは決まっていますが、よくわからないのです。」
大柴さん 「Oh!No!」
菊池君 「幹事した事がない私に頼むのが悪いのです。」

この場合、忘年会の段取りが全然できていませんでした。その後、大柴さんが助言して無事に忘年会を演出できたかどうかは分かりません。ただ、こんな事でも段取りが必要になってくるのです。今回のこの会社の忘年会を題材に少し段取りについて考えてみましょう。
忘年会を開催し乾杯をするまでをゴールにしたプロジェクトと考えた場合、直前のタスクは何でしょうか?
私なりに考えてタスク(1)「参加者の前にビールなどの飲み物がそろっている」というタスクと考えます。では、その直前の作業はタスク(2)「参加者が希望のドリンクを注文している」というタスクでしょうか?
ここで「タスク(2)ができれば「タスク(1)が実現する?本当に「タスク(2)だけで十分ですか?」という質問を繰り返していくわけです。
当然、「参加者がお店に集合を完了している」とか「乾杯ご発声をする人を決めておく」などあると思います。こういう風に「乾杯をする」というゴールから「お店選び」や「参加者の出欠確認」までを色々と段取りする必要がありますよね。

ではどうやってその作業(タスク)を洗い出していけばよいでしょう?
忘年会の段取りを決めるのであれば、経験者がいればなんとなくできると思いますがプロジェクトともなると一人で勝手に決めるのはあまり良くないです。こういう場合は当事者をみんな集めて会議室で集中して段取りを立てる事をオススメします。
ファシリテーターには一番未熟な若造君を指名してこの質問を愚直にさせるといいでしょう。

「その直前にする事は何ですか?」
「本当にそれだけですか?」
「○○ができれば△△が実現する?」

一番未熟な若造君に3つの質問をされるとベテランの皆さんは「いや、このタスクが必要だよ」って感じで未熟な若造君に教育を兼ねてついついしゃべりだしてくれると思います。これが、一番知識のあるベテランさんがファシリテーターをしていたらその方が言う事に否定的な意見を言いにくい部分があるので結局遠慮がちな段取りが出来てしまうわけです。
タスクを付箋などに書きながら壁にペタペタ貼って「あーでもない。こーでもない」って感じでガヤガヤ話しながら、愚直にゴールであるODSCから現在に至る状態までを段取りを立てましょう。最後の仕上げは、現在からゴールに向けて読み合わせて違和感がなければ、それでバックワードスケジューリングの完了です。この出来上がった図を良く見るとODSCから現在までのタスクのつながりは「目標を達成するための必要条件」になっており、逆からみると「目標を達成するための手順」になっています。それもみんなの知恵が入っている素晴らしい手順です。あとはこれを実行する事が大切ですね。

というわけで「段取り八分」がいかに重要かお分かりいただけましたでしょうか?
私も今回の原稿を納期までに間に合わせる事が出来て何よりです(笑)
皆さんも何事にもゴールを明確にして、段取りを立ててみませんか?
小さな事からでも変化すれば、必ず効果は出てくると思いますよ。

今回の「サルでもわかるTOC/CCPM」はここまで。是非、参考にして頂けたら幸いです。

-以上-

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井阪 宣之
井阪 宣之(いさか のぶゆき) 株式会社 日本アドバンストシステム 2001年に株式会社日本アドバンストシステム入社。ソフトウエアの営業として顧客へ膝を突き合わせる営業で独自のスタイルを確立。2006年よりTOC-CCPMを活用した営業を開始し、プロジェクトマネジメント支援の実績を重ねる。現在は、各現場にTOC-CCPMをインプリメントする活動を中心にTOC-CCPMの普及活動に邁進している。

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