DX(デジタルトランスフォーメーション)推進コンサルティング 株式会社アイ・ティ・イノベーション

menuclear
ホーム > ブログ > 関和美の記事一覧 > 【第16回】PMOの効果を測る(2)


【第16回】PMOの効果を測る(2)

Pocket

< 前回 | 目次 | 次回 >

前回は、PMOの効果を測った事例を挙げました。

<PMO設置の目的>
あるシステムの追加開発を継続的に行うプロジェクトの品質向上のため

<PMOの効果測定方法>
長期的にみてシステムの品質が安定していること

では他の形態のPMOはどのように効果を測定するのでしょうか?
例を挙げて考えてみましょう。(ここからは実践ではなく提案です)

プロジェクトマネジメントチームとしてのPMO
プロジェクトマネージャの支援をメインに実施するPMOはよくある形態です。
大規模プロジェクトではプロジェクトマネージャ1人でマネジメントはできませんので、プロジェクトマネジメントチームとしてPMOを設置します。
この場合PMO設置の目的は「プロジェクトマネジメントを行い、プロジェクトを成功に導く」ですので、プロジェクトの評価基準と同じで良いと思います。
具体的にはプロジェクトのQCD(注)の評価でしょう。

  • 品質が規定値以内であること。
  • かかったコストが予算
    以内であること。
  • 期日以内に完成したこと。

もし組織に“プロジェクトマネジメント標準“がある場合は、どの程度準拠したかという観点で評価しても良いかもしれません。

(注)QCD:品質(Quality)、価格(Cost)、納期(Delivery/Time) の頭文字をつなげた略語。

組織内の標準・基準を策定し適用支援をするPMO

組織内のプロジェクトに向けた¬¬プロジェクトマネジメント標準や開発標準を作成するPMOの場合、PMO設置の目的は複数あると思います。
(1) 組織内におけるプロジェクトのQCD向上
(2) 組織全体のプロジェクトマネジメントや開発のレベルアップ
(3) 組織内のメンバーのスキルアップ
等々でしょうか。
まず目的(1)の場合、前回の実例と目的はほぼ同じですね。
よって、評価基準としては

  • 組織内のプロジェクトのQCDの推移を見る

で良いかと思います。

目的(2)の場合はどうでしょうか?この場合は「組織がレベルアップしたかどうか」がPMOの評価となるでしょう。
具体的には組織の目標を定義して目標値に近づいているかを評価します。

  • CMMIやPMBOKを参考にプロジェクトプロセスを定義する
  • 現状の評価と目標値(組織は何処を目指すのか)を設定する
  • 定期的に組織内のプロジェクトを評価し、推移を確認する

最後に目的(3)の場合は「メンバーがスキルアップしたかどうか」がPMOの評価となりますので、組織の目標を定義するのと同様、目標値を定義します。

  • 組織としてどのような人材が必要かを定義する
  • 現在の評価(何人がどのレベルか)と目標値を設定する
  • 定期的にメンバーのスキル評価を実施し、推移を確認する

目的から評価方法を考えましょう。ただし難易度高...

これまで挙げた例以外の目的で設置したPMOもあるかと思いますが、PMO設置の目的が明確であれば、効果を測定する方法が見つかるはずです。
ただ、2つ目の「標準・基準を策定するPMO」の効果を測定する方法として、「プロジェクトプロセスを定義」「必要な人材を定義」「現在の評価と目標値を設定」と書きましたが、実際には非常に難しくPMOだけでは出来ない部分もありますので、人事や企画部門と協力しながら策定することになります。

「人事なんかを絡めているとPMO評価するまでの道のりが遠い...」ということであれば、もっと簡易にデータが取得できるような評価方法から導入することも考えましょう。
「標準・基準を策定するPMO」であれば、標準・基準を利用したかどうか測るためのチェックシートを作成し、プロジェクトのクロージングの際にチェックしてもらうことでデータ収集が出来ます。
最初は定着率を判断し、次ステップで目標の設定と評価を行うようにする...という風に段階を踏んで導入していきましょう。

そして、「PMOって何しているのか解らない」ってもう言われないようにしましょうね。

******
16回まで進みようやくブログを書くことに慣れてきました。それでも結構時間がかかるんですよね。私悪いことは忘れて良い思い出に変えちゃうので失敗談を思い出すのが大変なんです。
自宅で書いていて気が散るのもあるけど。本執筆途中にネットショッピング。。。また買っちゃった。自宅でお仕事されている方尊敬します。

< 前回 | 目次 | 次回 >

| 目次
Pocket

採用情報
PM-waigaya
PM-WaiGaya
コンサルタントのトーク動画
PM Weekly Talk
PM Weekly Talk
コンサルタントが語る「PMBOK®12 の原理・原則」

Profileプロフィール

Avatar photo
関和美
奈良女子大学 理学部 物理学科(現 物理科学科)卒業 日本電信電話株式会社に入社(NTT分社化によりエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社に転籍)。主に金融系のSEとしてNWシステム 構築の設計、アプリケーション開発の要件定義、設計工程を経験し、その後プロジェクトマネジャーとしてプロジェクトに携わる。 2007年より現職。大規模プロジェクトにおけるPMO(Project Management Office)の運営およびプロジェクトマネジメント支援や、IT構想企画の支援を行っている。PMP。

Recent Entries最近の記事