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PMOの活動が立ち消えになる理由

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【質問】

現在PMOのメンバーです。今の組織にある複数のプロジェクトの横断的な問題を解決するために、施策を考え導入支援をしています。自分ではプロジェクトで日々苦労されている方々に対して貢献したいと努力をしているのですが、1年もたたないうちにPMOが解散することになりました。ショックです。(35歳女性)

 

【かずみ先生より】

私も解散やグダグタになったPMOをいくつも見てきました。

 

まずPMOとはどのように結成されるのか。

「どこのプロジェクトもトラブルだらけなので、その改善や標準化のためにPMOを作ってほしい」とプロジェクトの現場から声が上がることは、ほとんどありません。

今の状況をマズいと思った組織のトップが、プロジェクト成功率のUPや組織の成熟度UPのために、PMOを作る、ということがほとんどです。

では、PMOを解散する、グタグタになり活動をしない状態になるのはなぜか。

オーナーもしくは責任者である組織のトップが、「コスト削減」等のお題を突き付けられたことをきっかけに、組織の成熟度UP、プロジェクトの成功率UPを諦めたからでしょう。

(組織のトップが変ったため、方針が変りPMOを解散した、ということもありますが・・・)

 

皆さんも経験があるかと思います。転勤や転職で職場が変った時、以前の職場では当たり前に出来ていたことが、異動後の職場では全く出来ていない、と感じたことが・・・。

例えば、今まではミッションクリティカルなシステムのため高品質のシステムに携わっていた人が、異動した後、始終止まるシステムに携わることになった時の衝撃。「こんなシステムが世の中に存在するんだ」と感じ、異動直後は自分の経験や知識をもって改善してやろう!と思っていたけれども、それが半年1年経つと、その環境に慣れ、始終止まるシステムが当たり前になっていること。

 

トップの方も同じなのではないでしょうか?

以前に比べてずいぶんひどい。こんな状況ではダメだ。改善しよう >> PMOを作ろう。

改善しようと思ったけど現場とのギャップがありすぎて全く変わらない >> コスト削減も命題 >>結果が出ないPMOに投資するわけにいかない >> 今の状況でも問題ないように見える。PMOは解散。

このような思考になるのかもしれません。

 

では、当初思っていた組織の成熟度UP、プロジェクトの成功率UPは必要なかったのでしょうか?

『ミッションクリティカルなシステムが必要なサービスや業務』と、『始終止まるシステムであっても何とか動いているサービスや業務』を比較して「同じにしなければ・・・」と思ったのがそもそもの間違いかもしれません。

両者に求める品質は全く違います。

そしてそのシステムを構築してきた社員の考え方やスキルも全く違います。

 

まずは「過去の自分の経験と同等」ではなく現在の組織・プロジェクト・システムの要求を定義することから始め、その要求に合った活動にする必要があります。

そして、必要だと定義した活動を成果が出るまでやらない限り、成長することのない組織になるでしょう。

 

「コスト削減」するために目の前の仕事(プロジェクト)のみで改革を無くしては、将来のありたい姿には近づけません。トップの方には将来を考えて決断を考えていただきたいですね。

 

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Profileプロフィール

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関和美
奈良女子大学 理学部 物理学科(現 物理科学科)卒業 日本電信電話株式会社に入社(NTT分社化によりエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社に転籍)。主に金融系のSEとしてNWシステム 構築の設計、アプリケーション開発の要件定義、設計工程を経験し、その後プロジェクトマネジャーとしてプロジェクトに携わる。 2007年より現職。大規模プロジェクトにおけるPMO(Project Management Office)の運営およびプロジェクトマネジメント支援や、IT構想企画の支援を行っている。PMP。

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