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【連載:IT哲学のススメ】その3 林が考えるIT事業

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ITの重要性がさらに増していく社会の中で、新たな仕組みを実現するためには、どのように組み立てていったら良いのだろうか。

まず、第一に考えるべきことは、
・戦略とビジョンが、極めて重要であるということ(◎どうなりたいか描くこと、×どう作るかではない)。

一方で、

・ITを含めたビジネス分析、設計などの企画や分析までを含む技術体系も、同様に重要である。
ここで大切なことは、複雑なものを単純な単位に分割し、統治することである。分割統治、疎結合化、継承といった概念をテクニック化し、全体を分割し、段階的につじつまを合わせながら適用すること。言い換えれば、EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)の原理にしたがうことが必須である。さらには、ビッグデータやAIなどに適合した設計でなくてはならない。

戦略とビジョンは、技術の変遷にあまり左右されず、長期に見ても“ぶれにくい”と思われるが、技術は、多様で次々と新しいものが現れてくる。不確かなものも含まれる多様化は、一方で、選択の難しさや失敗を生む。

私が40年以上の経験で大切にしていることは、“ビジョンと技術を繋ぐこと”である。繋ぐ方法を具現化し、事例を積み重ね、再現性を高めることが重要である。大部分の領域の技術的再現性を高めておいて、さらにAIなどの先端ITの適用領域を埋め込み、個性的で付加価値の高い仕組みを創るのだ。新しい発想で新たな仕組みを産み出すことが出来るかどうかが、成功のカギになる。IT業界では、IT哲学を怠ってきたために、プロジェクトの失敗確率が益々高くなっている。今、AI導入の失敗例が多いのは、プロジェクトの始め方に原因がある。

一種のIT哲学(メソドロジー、方法論)が、必要不可欠なのである。敢えて、IT哲学と呼んでいるのは、単なる手順書、テクニック集、標準化を示すものではなく、ビジョンから分析、設計、構築、実装に至るまでの「筋のある考え方・哲学」が含まれていて、初めてメソドロジーと呼べるからだ。これにより、ビジョンから実現までの一連のストーリーが描ける。ストーリーの無い話では、成功に到達できない。

IT導入の難しさは、良いビジョン、正しく選択した技術があったとしても、実現のための哲学を持たなければ、失敗するということである。

私が言いたいのは、すべての企業には以下の要素が必要であるということである。

・長期的に通用するユニークな使命を持つ
・ステークホルダーに対して、その事業領域における正しく提供できる「もの」「こと」を有し、イノベーションの機会を産み出すこと
・使命を達成するためのメソドロジー(哲学)を適用し、実現化すること

これらが、必須条件だと考えている。IT企業も例外ではない。

この原則に従って何が具体的に必要か考察しなければならない。最後に実現するのは、IT哲学を持った人である。人が高いビジョンを掲げ、それを信じてリーダーシップを発揮し、我慢強く、粘って粘って、良いシステムは実現できるのだ。言うまでもないことだが、IT哲学の実践は、人が実践する。実践する人を創るのが、経営者の仕事である。(実践者が、当初は経営者であっても良い。)

人材と他の成功条件が整って、初めて成功できると私は考えている。

(その4に続く)


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