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ITコンサルタントを始めて見えてきたこと

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ベンダー出身の筆者が、弊社ITコンサルタントを始めて約半年になりますが、自社の製品、ソリューションを提案するベンダーの立場から、ユーザーのサポートを行っていく業務に就いて、率直に感じたことをお話しさせて頂きます。IT Innovationのコンサルタントを身近に感じてもらう機会になれば、幸いです。
簡単に自己紹介ですが、前職では、素材関係(金属、化学材料など)の量産品の製造プラントを制御するシステム(プロセスオートメーション)を扱う営業技術として、契約前の仕様固めや提案などを行ってきました。その中で、制御システムの方向性をお客様と一緒に検討したり、システム構築体制の社内立上げに従事していました。

1.ベンダー時代の振返り
ベンダー時代も製造業を中心に色々な顧客、パートナーの方とお仕事させて頂きましたが、世の中の変化を受け、その結果、様々な課題を抱え、それに対応するため、試行錯誤を続けているのを見てきました。そのため、問題を持っていないと言える企業や組織は無いのではないかと思います。ベンダー時代も振り返ると、一緒に仕事をする顧客、パートナーのこの問題をどう捉えられるかが物事を上手く進められるかの鍵になっていたと思います。

2.顧客の立場に立って考える必要性
前職が営業側の立場であったこともあり、弊社でITコンサルタントを始めてからも、顧客の状況や立場を考え、提案していくことに大きな違いは感じませんでした。
ただし、システム開発側のプロマネやシステムエンジニアだと、印象も違うかもしれません。システム開発フェーズで活動しているメンバーは、営業フェーズで検討されたゴールに向かっていくのが使命で、ゴールを達成するために労力の多くをかける必要があり、ゴールがなぜ、設定されたかに時間をかける余裕がないことも多いからです。

そのため、前職の社内でも営業フェーズで明確にした顧客の目的・目標、そして、自社としての目的・目標を、実行部隊に当たるプロマネ、システムエンジニアに明文化したものを伝えていくことを進めていました。何のために”Why” を共有する機会が、それ以前、少なかったことに対する反省から進められた施策でした。私自身、顧客の目的・目標をお客様と一緒に精査するようになったのは、ある程度一人前に仕事を余裕をもって対応できるようになってからで、社内で共有を明確にしていくようになったのも、その後、少し経ってからでした。

社内での目的・目標の共有を意識的に行うようになってから、依頼した内容の回答が方針からブレづらくなり、また、依頼を受けたメンバーのモチベーションが高くなるのを実感していきました。今思えば、目的も良く分からない、大変、面倒な依頼をモチベーション高く対応するのは、無理がある話だったと思います。社内で顧客の目的・目標を共有する活動を通じて、顧客の立場に立って考えるのは、必然となり、習慣ともなっていきました。

3.必要なことができないもどかしさ
習慣になっていたはずの顧客の立場に立って考えることですが、フィールドが変わると思うように実行できませんでした。主に業務システムを扱う支援に入ったこともあり、制御システムと業務システムで扱うものの違いを捉えるのに、労力を割いてしまったのが一因になっていました。制御システムでは、プラントすなわち装置がベースにあり、所定の図面(P&IDなど)を見ていくことで全体像が見えてきますが、業務・データがベースにある業務システムとポイントの押さえ方を理解するのに時間を要していました。

また、情報収集についても前職のビジネスでは、付き合いの長い顧客と顧客-社内間で多くの人的接点があって、社内で聞いて回るだけでも、それなりに情報が集まるという、恵まれた状況もあり、自分の立ち回り方を見直すきっかけとなりました。

4.そして求められる事とは
もちろん、先に述べた業務システムの知識・経験を充実させていくことも重要なことですが、弊社コンサルタントとしては、より速く、より深く顧客の状況を汲み取るスキルが顧客の立場に立つために必要になると感じています。
顧客の立場に立つといった場合、ベンダー時代は以下の2つのパターンがありました。

 ①顧客の課題を想定して提案を持っていく
 ②顧客と一緒に課題を考える

ベンダーの立場だと、①「顧客の課題を想定して提案を持っていく」が、主で、自社のソリューションと合ったものを提案して、ニーズとマッチするか否かで取引に進むか判断することになると思いますが、コンサルタントであれば、②「顧客と一緒に課題を考える」に軸足が移っていきます。
この②「顧客と一緒に考える」を行うために、顧客の状況を汲み取るスキルが、1つ上の段階で必要になると感じ、今まさに、精進しています。

まとめ
大きな視点ではベンダーの立場であってもユーザー支援の立場であっても、顧客の価値を生み出すという点が一緒になることを考えれば、同じになります。しかし、立ち位置の違いで、深いスキルの求められるポイントが変わってくるのだと思います。


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小林大悟
2007 年より横河電機(2013 年、横河ソリューションサービスに移籍)で、制御システムのエンジニア(営業技術)に従事。鉄鋼などの素材製造の顧客向けに提案活動、契約前の仕様決めに従事。システムを扱っていく中でプロジェクトマネジメントに興味を持ち、PMS(Project Management Specialist)を取得。2023 年から IT Innovationのコンサルタントとして活動。ボランティア活動として、日本プロジェクトマネジメント協会中部支部である中部 PM 研究部会の副幹事として、会運営を行っている。

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