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曖昧で情報量の多いことに対する整理


情報や資料がたくさんあるとき、内容を整理するのに手間取ったことはないでしょうか?
“あれ”と”これ”は関連している、こっちも関連があってなど、複雑に見えることをどうやってまとめていけばいいのか、悩むこともあるのではないでしょうか?今回は、このような状況で、まとめ方を工夫した経験を紹介します。
事例の状況としては、ボリュームのある企画資料、思い付いた仮説、現状の様々な情報など、関連があるのは分かるが、なかなか全体像・つながりを捉えるのが、難しい状況でした。読み込むべきメインの資料をまとめていくことから進めたいのですが、どうまとめたらいいか目途が立たない状況でした。ボリュームのある100ページ以上の資料を読み込むとなれば、終わりが見えず、精神的にも辛い作業になることが想像されました。では、このような情報量が多い場合、どうすれば、少しずつまとめていけるのでしょうか?

今回は、読み込む中で分かった関連性などを①「情報出し」と②「整理」のサイクルを回していくことで、多い情報量を段階的にまとめていくやり方を取りました。

①の情報出しの段階では、記述ルールに捕らわれず、頭の中にあるものを表に出して、記録に留めることを主眼において、思い付いたことをホワイトボード(物理)に描き出していきます。線や矢印で関係性を表していきます。矢印の意味が情報の価値なのか、業務の流れなのかなどは、まずは気にせず、頭に浮かんだことが消えてしまう前に描きだすことを大切にし、分かった関連性を見える化していきます。
描き出すことは、オンラインホワイトボードでもできますが、情報出しの段階では、頭の中にある内容を外に出すために、”思い付き” ⇒ “描き出す”の過程(⇒の部分)の時間、タイムラグを極力 小さくすることが、重要になります。この時間が長いと思い付いたことを忘れていってしまい、表に出せずに流れてしまいます。これが、物理的なホワイトボードを使用した理由になります。できれば、ホワイトボードのスペースも広くとって、マーカーの色の種類を多くしておくと、スムーズに描くことができます。

次に②の整理をする段階では、情報出しで出た関連性を既存の資料なども含め、鳥瞰的に見て重要なものを選び出せるビジュアルに起こします。そこで、役に立つツールがオンラインホワイトボードになります。物理的なホワイトボードは、思い付いたことをリアルタイムに描き出せるメリットがある一方、スペースの制限や他の資料もまとめて表示するには、印刷などのひと手間がかかってしまいます。その点、オンラインホワイトボードなら、全ての情報を1か所にまとめることができます。もちろん、情報が多くなれば、1画面に収まりきらなくなりますが、関連性が途切れずに鳥瞰できるのが、整理の段階で役に立ちます。
なお、オンラインホワイトボードとして、MiroMS Whiteboardが有名かと思いますが、今回はdrawioを用いました。ファイルをローカルに置くことができるので、情報の管理がしやすいため、drawioを用いました。drawioは、図面作画用のフリーツールですが、グリッドとページビューを非表示にすると、オンラインホワイトボードのようにも使用できるので便利なツールです。

今回、オンラインホワイトボードを使用しましたが、ベンダー時代も要求の確認や仕様の整理のため、オンラインホワイトボードを活用していました。(そのときは、MS Whiteboardを使用していました。) コロナ禍もあり、リモートでの打合せが多く、オンラインホワイトボードの利便性、有用性に気づくきっかけになりました。コロナ禍では必要性が高まり、各種オンラインホワイトボードの性能が向上していったので、多くの方が同様な印象を受けた時期でもあったかもしれません。PowerPointなどのスライド形式ではなく、オンラインホワイトボードに資料を並べておくと、見る資料が移っていく中でも、全体を見ながら、部分に遷移していく流れを共有しやすくなります。(逆にストーリーをきっちり、相手と追っていきたいときは、オンラインホワイトボードより、スライド形式で1つずつ見ていった方が効果的です。) 話の展開が戻ったり、移ったりしながら、話をまとめていく、全体像をまとめる段階では、オンラインホワイトボードは、効果的なツール(環境作り)であると思います。
ベンダー時代は、主に仕様の整理を進めていたため、コンサルタントがクライアントの悩みに向き合うような内容より、曖昧性が低いものを扱っていました。そのため、いきなりオンラインホワイトボードで描き出すことも比較的容易でした。

ベンダー時代のオンラインホワイトボードの別の活用例として、社内の改善プロジェクトをメンバーと協議する際に使用していました(このときはMiroを使用)。同様にコロナ禍という状況もあり、リモートで活動していたので、オンラインホワイトボードは、必然でした。その中で目指す姿、現状・課題を構造的に考えていきながら整理を進めていく作業であったので、”思い付き”⇒”描き出し”のタイムラグが作業の支障にはならなかったため、オンラインホワイトボードで進めることができました(“思い付き”の後、考えを整理してから”描き出す”ため)。

よりあやふやな、固まっていない上流工程の内容をクライアントと整理していくコンサルタントの仕事は、対面、物理的な部分を伴う活動がより重視される場面が多いのだと感じています(もちろん、クライアントの求める内容により、状況は違いますが)。
最近は、with コロナになり、リモートも有効なところに絞って使う流れになってきていると思います。コロナ禍でリモートでの業務を試行錯誤した結果、対面での活動のメリット、必要性も浮き彫りになってきたと思います。今回紹介した整理の方法についてもコロナ禍から現状に至る過程で見えてきた、対面での活動の必要性の1つでもあると思います(①「情報出し」での物理ホワイトボードの有効性)。また、作業の特性を見極めてアナログなツールが有効かデジタルなツールが有効か、判断していく一例になるかと思います。今回、身近な整理のテクニックについて取り上げましたが、皆様のお役に立つことがあれば幸いです。


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小林大悟
2007 年より横河電機(2013 年、横河ソリューションサービスに移籍)で、制御システムのエンジニア(営業技術)に従事。鉄鋼などの素材製造の顧客向けに提案活動、契約前の仕様決めに従事。システムを扱っていく中でプロジェクトマネジメントに興味を持ち、PMS(Project Management Specialist)を取得。2023 年から IT Innovationのコンサルタントとして活動。ボランティア活動として、日本プロジェクトマネジメント協会中部支部である中部 PM 研究部会の副幹事として、会運営を行っている。

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