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営業活動とプログラムマネジメント


システムエンジニアリングのようなプロジェクトを遂行していく業態で営業の価値、役割を捉えづらいと感じられている方も多いのではないでしょうか?
同様にシステム開発などプロジェクト型の商材を扱っている営業の方も、自身の提供している価値を説明することに難しさを感じられているのではないでしょうか?
制御システムの営業技術からITコンサルタントに移り、2のタイプのシステム開発を2つの立場から見てきた経験と、P2M(Program & Project Management)の知識体系を組み合わせて、営業活動についてご説明します。皆さまのモヤモヤを晴らす機会になれば幸いです。


プロジェクトを売る営業の仕事とは?

カタログにある製品やサービスを販売するのではなく、システム開発などの顧客ごとにプロジェクトを構えて価値を提供する場合、商談においてもプロジェクトマネージャーやエンジニアが提案内容を作成、説明することも多いと思います。その中での営業の役割は、顧客担当と仲良くなり、社内の雑用の調整係のような扱いを受けていたことを記憶しています。
しかし、実際は営業が扱う業務は不確実性が高いものもあり、優先順位もまちまちの作業が混ざっており、着実な作業の実施をし損なうと問題を起こしてしまうものです。
例えば、自社のリソースを超えて契約を結べば対応しきれなくなるため社内のリソース配分も考慮する必要があります。受注済みプロジェクトの負荷状況と営業活動中の新規案件への負荷予測をエンジニアの部門と調整をし続けることになりますが、リソースの状況次第で作業の必要性が変わってきます。
そのような作業も対応した上で、より利益を生み、持続的に受注を獲得するための判断をしながら営業活動を行っていくことになります。
このようなことを考えていくと、一体、どこに重心を置いて活動したらよいかと、迷うのではないでしょうか?実際、私の経験した会社では、若手の営業は自社のプロジェクトの特性、営業環境を理解する下積み経験を培いながら、このような複雑な業務への対応力を養っていました。

営業活動はマネジメントそのもの

弊社営業と上述の課題感を共有した後、プログラムマネジメントの講演を聴いた際、以下の構造が当てはまることに気づきました。
以下絵のとおり縦に複数のプロジェクトを束ねたプログラム構造になりますが、さらにスキーム(構想)システム(構築)サービス(運用・保守)の構造に別けて捉えることができます。さらに営業活動はシステム、サービスの段階では直接マネジメントするのではなく、モニタリングをしていくという構造になります。このプログラムは、まず、営業戦略、顧客戦略を基に、各プロジェクトの優先順位を見極め、どこに力点を置いて活動するかを判断していきます。この際、システム構築、運用保守の状況をモニタリングし、リソースや継続性を加味した上で、対応を決めていきます。参考:P2M事業モデル


また、この営業戦略、顧客戦略は部門、事業部のミッションをベースにするもので、営業活動はマネジメントそのものと言えると思います。

こうしてみると、営業業務はプロジェクトや各業務要素が生まれては消えを繰り返すもので、各タスクを逐一、順序立てて対応できるものではないことが見えてきます。今まで、営業は人柄とセンスと思っていた方もマネジメントスキルが高くないとできない、任せられない仕事と感じられたのではないでしょうか?


この図のβ版を中部PM研究部会で共有した際、エンジニアがいれば営業はいらないのでは?との意見もありましたが、理解が深まる中で大変な仕事であると見方が変わることがありました。本ブログで、営業とプロジェクトを遂行している部門との連携や若手営業の育成の助けになれば幸いです。

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小林大悟
2007 年より横河電機(2013 年、横河ソリューションサービスに移籍)で、制御システムのエンジニア(営業技術)に従事。鉄鋼などの素材製造の顧客向けに提案活動、契約前の仕様決めに従事。システムを扱っていく中でプロジェクトマネジメントに興味を持ち、PMS(Project Management Specialist)を取得。2023 年から IT Innovationのコンサルタントとして活動。ボランティア活動として、日本プロジェクトマネジメント協会中部支部である中部 PM 研究部会の副幹事として、会運営を行っている。

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