ホーム > ブログ > 林衛の記事一覧 > 人材育成の方法 -プロセスや手法導入の前になすべきことがある


人材育成の方法 -プロセスや手法導入の前になすべきことがある

Pocket

私は、ここ2,3年、IT組織における人材育成やスキルに関する講演を引き受けることが多い。私の講演回数の半数以上が、人材に関する話題だ。組織や会社、プロジェクト・・・何をとっても目標を達成するためには、人の問題がついて回る。最近の講演タイトルを振り返ってみると以下のようなものがある。

・明るく、元気なIT組織を創るために、今なすべきこと
・なぜ、ITリーダは、育たないのか?本質を探る
・IT人材育成のかぎ  など

 世の中が、複雑で、仕事の難易度が上がり、何事でも成功させるのは、容易ではない。このような背景から人材育成にかかわる話題が増えている。

  • 現実を直視
     世の中が、大きく変わりつつあることを「自分自身の五感で感じ、また理解し、納得」しなくてはならない。変化を感じ取るアンテナが、あるかどうかがまずは大事だ。そして、判断したことを素直に受け止めることが、必要だ。
  • 心構え 
     次に大切なことは、「心構え」である。「心構え」とは、自分の置かれている環境を肯定し、成功するために、前向きに考える素直な心を持つということである。いくら学力や体力などの個別のスキルが高くても、周りの環境を正確に理解し、自分自身を立場や現状の実力を正確に位置づけることができなければ、何事にも適切に対応することは難しいだろう。「素直で誠実な心と物事に立ち向かう覚悟」が、すべての基礎になる。
  • 自信
     心が座って、覚悟ができている人は、強い。穏やかで明るく振舞える。明るいということの前提には、心の安定と決意が、必要だ。また、どのような状況にも負けない決意と覚悟は、自分自身への信頼の現われになる。自分自身への信頼は、言い換えれば「自信」があるということである。つまり、自信は、心の余裕を生み、将来起こりうる結果まで覚悟があるので、不安が無く、いつでも明るくなれるということだと思う。
  • 本質の理解
     さらに、なすべきことの本質を理解することが、重要になる。本質の理解の無いまま手法やタスクの消化に走り、翻弄する。当然、何かを達成しようとすると、さまざまな阻害要因に突き当たる。本質を捉えず、あいまいな理解をしている人は、ちょっとしたことに右往左往することになる。実現したいことの背景や目的、到達目標、価値、責任や役割などについて、深く考え、納得し、なぜ実施するかについて明確な理解をすることだ。創造する価値について納得した上でどのように実施するのかを複数案検討する。
  • プロセスと経験
     最後に、成功し、改革を継続的に実施するためには、再現可能なプロセスの導入と経験を積むことが必要になる。

これらのことは、個人でもチームでも大きな組織でも同様の原理が働く。

人材育成を本気で行うならば、現実を直視、心構え、自信、本質の理解についてとことん追求した上(組織のメンタルモデルを構築すること)でプロセスや手法を導入することだ。

何かを始める前に考えてみよう。

(宿題)
あなたの会社は、人材を育成する上で以下のことが、明確になっていますか?

①IT事業環境の変化を正確に捉え、自社の現状のスキルレベルを測定し、目標とのギャップを素直に受け入れていますか(現状分析)?

②目標を実現するための組織的な覚悟(メンタルモデル)ができていますか?

③目標を実現するための組織的な自信(メンタルモデル)がありますか?

④組織を構成する人がなすべき事業の本質を理解していますか?

⑤事業に関する再現可能なプロセスが、定義され、何度も経験を積める用意がありますか?

①から⑤の内容を実務を通してトレーニングする一連のプログラムとして用意されていますか?

Pocket

| 目次

Profileプロフィール

林衛
林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

Recent Entries最近の記事

このページのトップへ