皆さんは、「守破離」という言葉に何を感じるだろうか。
「守破離」とは、剣道や茶道などで、修行における段階を示したものとある。
守:師や流派の教えであり、型や技を忠実に守り、確実に身につける段階。
破:他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。
離:一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出す段階。
※goo辞書より
「守破離」は、日本古来の剣道、茶道などを発祥としているが、そのまま、現代のビジネス、スポーツ、芸術などに完全にあてはまる考え方であると私は思う。
今回のブログネタで、なぜ「守破離」を選んだのかには、理由がある。
私はJAZZが大好きで、成功したミュージシャンのドミュメンタリーをネット番組でよく見る。私は元来、人の生き方に関心があるので、音楽界の巨匠がどのような経緯で偉大になったのか、そのきっかけや生き方、考え方などを知りたいと思う。どのような人も、きっかけ無く偉大になるはずもない。最初は普通の人(ほとんどは非凡さが若いころから現れているが)なのかもしれないが、きっかけを生かせるかどうかが、その後に大きく影響するのだ。
過去に見た音楽ドキュメンタリー番組は、ビル・エヴァンス、マイルス・デイヴィス、クインシー・ジョーンズなどである。特にクインシーは、元々JAZZ界の巨匠であるが、音楽界全体への影響力は大きく、JAZZというジャンルを超えて、世界の音楽界の守破離の「離」を実現した。他の二人ももちろん、超有名なミュージシャンで、JAZZというジャンルでの世界的プレイヤーであり、守破離の「離」まで到達している。有名な音楽家は、例外なく守破離の段階をたどり偉大なミュージシャンになっている。
クインシーは、1951年に有名なバークリー音楽院を卒業後、トランペットプレーヤー、ビッグバンドのリーダーとしてJAZZ界の一線で活躍した。その後、JAZZのジャンルを超えて、音楽プロデューサーとして、ポピュラー音楽、映画音楽、テレビなどで広く活躍した。グラミー賞など多数受賞するとともに、マイケル・ジャクソンとの共同アルバム(スリラー、1982年、1億5千万枚)では、売り上げ世界一のギネス記録も残した。
クインシー・ジョーンズが関係するミュージシャンで、主な有名人は、以下が挙げられる(どのミュージシャンも相当有名である)。
・レイ・チャールズ
・マイルス・デイヴィス
・ヘレン・メリル
・サラ・ヴォーン
・マイケル・ジャクソン
・フランク・シナトラ など、きりがない。
クインシー・ジョーンズの場合、守破離の「守」である音楽の基礎は、しっかりとした学校(バークリー音楽院)で学び、卒業後、ライオネル・ハンプトン楽団に参加。アレンジャーとしてデューク・エリントンや、カウント・ベイシー、サラ・ヴォーンなどの一流の環境で、繰り返し基礎を身につけていった。
1960年代からプロデューサーとして(破)活躍し、ポピュラー音楽、映画音楽などに関わった。この段階での活動は、JAZZよりもはるかに広い領域となり、1980年代のマイケル・ジャクソンとの出会いがきっかけで、守破離の「離」の段階に到達したと思われる。
これができたのは、若いころにしっかりとした音楽・芸術の基礎をしっかりと学び、人並外れた実践があったからこそ、のちに守破離の「破」を経て、「離」に至ることができたのだろう。
芸術・音楽で成功するためには、「破」を経て「離」に至るまでの道を歩まなくてはならない。
世界で売れている音楽家はみな、守破離の「破」と「離」を売りにして、人気者になっている。しかし、たいていの人は「守」である基礎の積み重ねが不足しているために、「守」を超えて、他の方法を模索したり、既存のやり方(先輩に教わったやり方)に疑問を持ち、改善や改革を試みたりというレベルに到達できていない。これが現実である。
視点を切り替えて、自分の生き方や仕事のやり方に、守破離の考えを適用してみよう。自分のやっていることは、守破離のどの段階か。ほとんどの人は「守」の段階であり、もっと基礎を繰り返し学ばなければならない段階である。人によっては、改善や改革に関わっているのだから「破」の段階と主張するかもしれない。しかし、「守」が未熟なまま「破(改革や改善)」を進めてはいないか、今一度考えてみてほしい。
う~ん、仕事のことを思い出してしまった。DX、AI、アジャイル、ChatGPT…これらは、守破離の何だろう!? ITの先端と言われている技術が「離」ならば、その前の「守」「破」をしっかり身につけて、前進していきましょう。
そして、私は「離」について思う。「離」の段階に到達すると”何か違う喜び”を感じることができるのだろうか。素朴に知ってみたい。