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マガルパッタシティ(MAGARPATTA CITY)

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 インドは、ムンバイから約170キロのデカン高原に位置するプネ市の中に近代的な計画都市としてのマガルパッタシティがある。マガルパッタの計画は、120名余りの農民が、土地を出し合って共同経営組織を作り、マハラシュトラ州が、支援して出来上がった都市である。400エイカーの土地(50万坪以上)に計画的に32000本の植樹を行い、公園とサイバーオフィス、住居、学校、スポーツ施設、病院、ホテル、ショッピングセンターなどをレイアウトしている。プネ駅や空港からも7、8キロといった立地条件だ。広大な土地の境界には、フェンスを施し、ガードマンを置き、都市全体のセキュリティーを確保している。住民や働く人の安全性は、一般の町のオフィスとは比べ物にならない。また、自然を大切にするエコロジーの発想で、ソーラパネルと発電設備や雨水のリサイクル、ごみなどの廃棄物のリサイクルをもともと計画的に構築しており、マガルパッタの中で、生活環境(学校や仕事と家庭での生活)が、歩ける範囲で整っている。まさに21世紀型の都市計画といえる。すでに、この都市の中心部に30棟ほどのサイバーシティーが、完成しており、グローバルIT企業が中心に、数万人が生活している。

 私は、ここ4年余りの間に20回ほどこのプネを訪問している。グローバルIT人材のトレーニングで送り出した受講生は、今年度通算で200名に近づくだろう。また、インドの視察にお連れしたトップマネジメントの方々も80名近くになってきている。 私どものパートナー会社であるソフトブリッジソリューションズは、6月にはこの都市にオフィスを移転することが決まった。7月以降のトレーニングは、新しいオフィスで実施することになっている。アメリカ並みにトレーニングや住環境が、良くなりサバイバル的な研修要素が薄くなってしまうのではないかという懸念の声も一部にはあるようだ。私は、インドの発展を肌で感じられる点では、新しい環境でのトレーニングに対する期待は、大きい。

 4年以上にわたって日本の企業に私は、インドを紹介してきたが、次の世代のインドとともに新たなことを開始する時期が来たと感じている。思えば、インド政府の機関(CDAC)のきれいとはいえないオフィスを間借りして、最初の研修生を送り出した時期もあったし、2番目の研修センターに移転した後もインドの環境の泥臭さがわかる場所で研修を行ってきた。これはこれで、大変良かったと考えている。

 今、インドは、景気減速の影響もあるが、着実に進歩している。ソフトブリッジソリューションズでは、2,3年前から日本企業のオフショア開発のビジネスを強化に取り組んでいる。私どもアイ・ティ・イノベーションでは、マガルパッタへの研修施設の移転を機に、そろそろ、日本企業の開発と保守のアウトソーシング化のお手伝いを開始しようと考えている。日本からの直接の開発センターも考えられるが、シンガポールなどのアジアビジネスの中核拠点の開発や保守の支援業務も考えられるだろう。また、インド国内からの委託業務も今後は徐々に期待できる。従来から失敗の多いオフショア開発のマネジメントを成功させるために必要な準備、計画を行い、方法論や情報共有化ツールなどを駆使して、自立した開発、保守業務を実現できる仕組みを構築することを第一の目的とする。要は、小さく初めて段階的に成長、自立したしっかりとした組織にしていく。

 従来のオフショア開発で欠けていたものは、計画、方法論、人間関係・信頼関係、情報共有ツール、そして、段系的アプローチであった。最初からコストダウンやスピードを求めても成功は望めない。着実にプロセスと人間関係を構築することこそが成功に繋がると私は、確信している。お客様の一部の業務の開始時点から最終的にお客様の自立した開発センターの運営までリソースの選定、調達、パイロットプロジェクト実施、拡大、改善と安定化までお付き合いできればと考えている。

 ところで、マガルパッタに話を戻そう。私は、お客様と共に3月に2回この都市を訪れて誰もが驚いているが、アメリカや日本などの先進国以上に、エコロジーや生活環境の変革をインドでは、実行しようとしていることを実感した。私のこれまでのインドに対する印象は、異なったものであった。インドには、活力もあり、人口も多い、闇雲に先進国の行っていることを追っているようにも見えていたことは事実である。インドや中国に対する懸念は、やはりエネルギー問題やエコロジーの問題であるが、マルガパッタのような開発が増えれば両立すると思う。実際、インドの人にエコロジーについて聞くと関心は確かに高まっていることも気付かされた点の一つである。マルガパッタの一歩外へ出ると狭い道端に牛やヤギの群れ、野良犬も多くいるし、ゴチャゴチャの中で生活している発展中のインドがある。ああ~やっぱり、インドは、まだまだインドなのだ。

だから、インドは、面白い。

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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