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国民の視点を重視した原発収束への工程表

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4月17日に東京電力が、発表した原発収束に向けての工程表について、私の経験に基づき考えを述べる。

震災以来、福島第一では、命がけの原発事故への対処がなされている。事故の収束に関わる方々は、大変な苦労・苦難の中で、最善の活動を続けていると思う。現場でこの国のために作業を続けている人たちには、本当に頭が下がる思いである。また、被災した原発付近の住民の方は、言葉では表せないような明日の見通しの立たない日々を送られていることと思う。
また、東電、政府、関連企業さらには、海外の専門企業まで含めた体制で何とか発電所を復旧させ、事を収束させることに相当の努力をされていることは、紛れも無い事実である。このような状況下で公表された原発収束に向けて発表された工程表は、私にとっては、がっかりする内容であった。

工程表は、原発運営側から書かれたものであり、地震・津波と原発により二重に被災した住民の立場に立った内容になっていなかったのだ。原子炉や汚染水をどのようにしていくのかは、書かれているが住民側の視点に立って、どの段階まで復旧作業が進めば、どのようなことが可能になるのかが書かれていない。本当に困っている被災者側にわかる言葉で説明が無いばかりか、関連すら分からないのである。提供側の論理でしか工程が説明されていないため、到底、被災者には、受け入れがたいものだと思う。もう少し、政府やサービスを提供している関係者から住民への配慮が必要だと感じている。

私なら住民視点で、どこまで作業が進めば、何が可能になるのかを明らかにできるように、住民視点を上段に提供側の視点を下段にし、一つの表で並行に並べて工程表を作り直す。さらには、現段階の工程表は、構想段階(確定していない要素が多く含まれる)であるために、計画は、あくまでも提供側の目標(希望)に過ぎない。もう少し分かりやすくするために、あるステップが、完了するためにマイルストン、基準が示されるとよい。つまり、何を満たせばどのような行動が可能になるのか理由を明らかにすることである。当然、6ヶ月から9ヶ月の想定期間の中で完了できない条件が発生すれば工程は、延長せざるを得ないことになる。不確実性を含む内容であることだ。このような場合には、リスクと対応策(事前対策と発生時対策)を明らかにする必要がある。このような内容を明らかにすることにより、様々なことが説明しやすくなるはずだ。ここで説明した内容を盛り込んで新たに工程表を示すことを強く要望する。

ドラッカーは、顧客とは何か(国民)ということを中心において状況を考えろといっている。私は、工程表どおりに原発が正常化し、国民が安心して暮らせるようになることを願っている。

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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