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日印の架け橋のためのジャパンビジネス成功セミナー(プネ大学)その1

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 1か月ほど前の2012年2月25日に、私は、インドのプネ大学の卒業生を中心に、日本語の教授陣、社会人向けに「ジャパンビジネス成功セミナー」と題して、3時間ほどの講演と質疑応答を行った。

 このセミナー開催のきっかけは、日本とのビジネスに関心のある多くのインド人が、日本人とのコミュニケーションの問題を抱え悩んでいるという話を、親しいインド人から聞いたことによるものである。

 一般的にインド人は、日本に好感と強い関心を持っていて、一種憧れもある。しかし、日本の企業とのビジネスの現場では大きなカルチャギャップが存在し、思ったようにビジネスを進行させることができないことが多いようだ。このことは、インドに限らず、近隣の中国や韓国の人たちにとっても同様ではないかと思う。彼らにとって日本は理解しにくく、誤解や疑問を抱いたままビジネスを進行させていることが多い。また、私たち日本人が自国の感覚や基準に縛られながらビジネスを行い、しばしば大きなトラブルに発展しまうケースも多いと思う。これは、双方に原因がある問題だと私は、考えている。

 このような背景から、私は思い切って日本と外国とのギャップを埋めるためのセミナーをインドのプネ大学の施設をお借りし開くことにした。開催にあたって、プネで一緒に日本とのビジネスを行っているMさんとDさんに大変な努力と協力をしてもらった。MさんとDさんは、夫婦であるが、二人とも日本での留学経験があり、日本語は堪能、日本のことが大好きな人達である。この二人の熱意がなければ、セミナーは開催できなかった。私は、深く感謝している。そのように日本が大好きな二人であるが、いまだに日本人や日本文化に対して、様々な疑問が残っているそうだ。この疑問については、日本人がよく考え説明をする必要があり、日本人自身が説明することにより、納得が得られるに違いないと、私は考えたのだ。

 さて、セミナーの内容は、考えに考え、悩みに悩み、以下のトピックになった。

 私が考える、日本とは何か、日本文化の特徴、グローバルビジネスで大切なこと、日本で外国人が成功するためには何が必要か、どのように行動すればよいか、私が考える素晴らしい日本人の紹介、日本人らしい言葉の紹介、世界の若者への提言、最後に、日本と日本文化、日本の国民性が理解できる本や映画の紹介をした上で、40~50分ほど質疑応答の時間を取った。

 私もインドの人に何を話したら分かってくれるだろうか、いろいろと悩み、一生懸命準備をしたし、20数名の出席者の方々も私の話を真剣に聞いてくれた。一番有効であったのは、やはり質疑応答であった。例えば、日本語のベテラン教師の方からは、インド人にどのように“本音とたてまえ”について説明したらよいかというような、日本人でも悩むような質問が出てきた。また、長期にわたって日印ビジネスの橋渡しをしている方は、なぜ日本人は、インド企業への訪問の要求をしてくる一方、自社の紹介や訪問目的、抱えている課題の説明は少なく、スケジュール優先で、しかも次々と別の企業を訪問するのだろう。目的と課題が事前に分かればもっと良い準備や対処が可能だし、お互いに有効で生産的な時間になる筈なのに、なぜこのような行動をするのか、と不満も素直に述べてくれた。あるいは、このセミナーのために200キロ近く離れているムンバイからわざわざ来てくれた参加者もいて、これぞ質問の機会!と思ってきてくれたのだろうと思うと、大変ありがたいのと同時に日本への期待やギャップの大きさも痛感した。

 私は、まじめで誠実なインドの人々に感謝し、一つ一つの質問に丁寧に答えることを心掛けた。その結果、セミナーの後に多くの感想、そして感謝が書かれたメールをいただいた。

 今、私は、真剣に海外の国と日本とのコミュニケーションの改善に取り組もうと考えている。

 日本の本当の価値をわかってもらえないことは、“もったいない”からである。(“もったいない”は、日本固有の文化性のある言葉、概念でもちろん英語には、存在しない。)

 次回は、実際のセミナーの内容や参加者の反応について、詳しく説明することにする。

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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