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あらためて“やなせたかし”さんと“アンパンマン”を考える

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人にとってやさしさが、もっとも大切なもの・・・ 

 先月、名古屋市博物館で開催さている特別展「やなせたかし生誕100周年記念 やなせたかしとアンパンマン展」を観に行った。
アンパンマンの生みの親・やなせたかしさんは、1919生まれ、2013年没(94歳)は、漫画家であり、詩人、イラストレーター、絵本作家など、多岐にわたって活躍されたひとだ。

 私が観た展示会は、やなせさんの生誕100周年を記念し、初期の作品であるイラストや雑誌に掲載された原画も数百点展示され、時代に沿って、彼の多彩な創作活動の歩みを、じっくりと見ることができる。アンパンマン誕生(1973年、テレビ放映1988年)に至るまでの作品を通して、私は、やなせさんの人柄や人生観を感じ取ることができた。
アンパンマンといえば、40年以上、子供たちに愛され続けているヒーローで、絶大な人気があることは、誰もが認めるところであろう。アンパンマンとして認知された後の数多くのアンパンマンシリーズについては、多くの人が知っているに違いないが、はたしてアンパンマンは、どのようなきっかけで生まれたのだろうか?
 このことを明らかにするのは、やなせたかしさんの戦争体験から漫画家になって活躍するまでの人生と照らし合わせて、多くの展示品、インタビューのビデオなどを観ることで、そうだったのかと体験できるのだ。
 
 やなせさんが一貫して主張したことは、人やいきものに対するやさしさであると私は思う。

 私の体験の中にある、やなせさんの印象的な作品は、「手のひらを太陽に」という歌だ。やなせさん作詞、いずみたくさん作曲、NHKのみんなのうたで発表された。この歌は、私たちの世代であれば、だれでも知っている歌だ。詩の一説にある「手のひらを太陽にすかしてみれば、真っ赤に流れる僕の血潮・・・」という部分は、当時小学生だった私は、何度も自分の手をまぶしい太陽にかかげて、透けて見える自分の血の流れを見て、生きているってことは・・・こんなこと!?自分とは何か、生命とは何か、生きることに関連した、いろいろなことに気付かされた記憶がある。そして、自分の身近にいる犬や猫などの動物や昆虫たち、様々な生き物は、何を考え、どのように生きているのだろうと興味を持ち、観察してみようとする気持ちを後押しされた。私としては、歌詞の内容が、他の歌と比べて強烈、リアルで、軽いジャブを食らった気分だったと記憶している。


 やなせさんは、多種多様な作品を世に送り出したのちに、アンパンマンを産み出すことになる。アンパンマンが、初めてテレビ放映されたのは、比較的新しく、1988年でやなせさんが69歳の時だった。
 当時、アンパンマンが誕生した際、大人の反応は良くなかったようだ。出版関係者、テレビ関係者は、こんな弱く、頼りなく、武器も持たないアンパンマンは、人気者になれないだろうというのが大人の評価だったのだ。
 このことについて、東日本大震災直後のインタビューで、やなせさん自身が、アンパンマンが人気になるきっかけについて話をしている。インタビュアーは、長年アンパンマンの声優を担当している戸田恵子さん。アンパンマンを絶大に評価したのは、なんと三歳児だったそうだ。三歳児といえば、自我が目覚め、自分の感情や考えを自分のことばで、伝え始める年齢。本当に純粋な心を持ち、いろいろな身の回りの出来事に反応し、大きく人として成長する最初の年齢。その三歳児たちのこころを、アンパンマンは、しっかりと捉えたのだ。やなせさんは、はっきりと次のように言っている。「大人たちがダメだしをしている中、もし三歳児の支持が無ければ、アンパンマンは今のようにはならなかっただろう。」

・姿や形にとらわれず、純粋な心で本質をとらえることの大切さ
・人にとって“やさしさ”が、とても大切であること
・生きることの素晴らしさを身近な生きものをとおして学ぶこと

やなせさんの人生で学んだ“良心”が、世の中に大きく貢献していることをあらためて知ることができた。

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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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