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【連載:DX超入門】その3 DXの構造と広がり―既存のITとは、次元の違う大きさと進化

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今回の連載その3は、DX推進により既存のITとは次元の全く異なる大きさと進化が起こるということを読者の方々に理解してもらいたい。このことを説明するために、DXをデータの広がり、ITの機能的な進化に焦点を当てて考察する。

図1では、X軸方向にITの扱うデータの量とデータ構造の多様性を示し、Y軸方向にITの機能的な進化を示している。

何が言いたいかといえば、今後DX推進に伴いITが扱うデータ量が圧倒的に増加する。また、これまでの数値や文字列などの構造化データだけではなく、IoTのデータ、音声、画像や動画など多様なデータをITシステムが扱うようになる。多くの企業がITシステムで保持しているデータは、主に構造化データである。大企業の保有している顧客や仕入れ先などとやり取りする取引データは、ユーザーから見れば大きなボリュームのデータだと考えている人は多くいると思われるが、実は今後取り込むデータの候補は従来と比べ物にならないほど多様で、大容量になると予測される。保存方法も従来からあるRDBMS(Relational database management system)内に収まりきれず、様々な形式で保持する必要がある。

つまり、DX進行によりデータ量が爆発的に多様で増大することと、AIなどの適用が進みIT機能が飛躍することにより、IT基盤の大部分を再構成しなおす時期が迫っているということになる。
 
大きな変化を生じることで、特徴的、本質的なことは何かを考えてみよう。

・DX推進には、既存の仕組みにとらわれない自由な想像力が必要(分析よりも想像力)

・DX推進を支えるIT基盤は、多様なビッグデータと機能進化に対応できるよう再構成が必要

・開発パラダイムは、①初期の段階でPoCなどの実験的な試行錯誤のプロセスを含み、②しっかりとしたIT基盤設計と③徐々に手直し可能な繰り返し開発を、俊敏性(アジリティ)を持って実現する①②③と戦略性を持って実現できるマネジメント手法の確立が必須

一方で、多くの組織では2025年問題の対処が重要な要件になっている。組織が既存のITシステムの維持や保守に縛られて、前に進めない状況にある。過去と同様の方法で既存システムの維持ができるはずがない。集中と選択を行い、賢く実行しなければならない。新しい仕組みを5年後に実現するとすれば、将来に残さなければならないものは何か?すべてのIT資産を将来に持っていけないとすれば、何だろうか?ビジネスの大きな枠組みと重要なビジネスルールの移行は必要だろう。また、取引データ(トランザクション)とマスターデータも必須だろう。重要なビジネスルールのほとんどは、特定のデータと結びついている。

結論としては、「既存システムの呪縛から逃れる方法は、生きているデータのみを対象に絞込み、新たなDXの仕組みに移行すること」である。

次の図2に示しているのは、DX実現に必要な方法論とテクノロジーを再編成したものである。ここで示す領域を街づくりに例えて説明してみよう。

プロジェクトレベルは、一戸の建物、個々の住宅やビルに相当する。次の領域のエンタープライズレベル(狭義:ビッグデータを含まない)は、一つに多くの建物を含むブロックのレベルである。一つのまとまりの中の個々の建物は、秩序だって存在する。事業部内や大きな機能的なまとまりの範囲で、疎結合化された領域が整合よく切り出されて設計されて、初めて個々の建物の設計は生きたものになる。2025年問題の多くは、大きなまとまりの中が密結合してスパゲッティ状態あるいはサイロ化状態になっている。

今後のDXを成功させるビッグデータやAIなどの機能が実装された世界で要求されることは、飛躍的に領域が広がり、扱うデータが大きくて、機能的にも進化した姿を滞りなく運用させることである。この世界を既存ITの延長線上には、置くことは到底できない。図2の最終的に一番外側の枠組みまで視野に入れた場合は、大量データの海と今までのアプローチでは手に負えない複雑さの中から、宝となる価値を創造することを要求される。このことは、デザイン思考や複雑系の解を見つけ出す手法、PoC(Proof Of Concept)の実施など必要性は、異なる次元であるからなのだ。

最後に、図3は当社が保有している、あるいは今後挑戦するDX手法を示している。


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林衛
IT戦略とプロジェクトマネジメントを中核にITビジネスのコンサルティングを行うアイ・ティ・イノベーションのファウンダーであり社長を務める。◆コンサルの実践を積みながら英米のIT企業とかかわる中で先端的な方法論と技術を学び、コンサルティング力に磨きをかけてきた。技術にも人間にも精通するPM界のグランドマスター的存在。◆Modusアカデミー講師。ドラッカー学会会員、名古屋工業大学・東京工業大学などの大学の講師を勤める。

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