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人財を育てよう! ~ プロセスと力量の関係性 ~

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 新型コロナも2類から5類に移行し、経済活動も活発になってきましたね。私自身も出張の機会やプライベートで外出する機会が徐々に増えてきました。今後はリモートとオンサイトを適材適所に選択しながらより楽しく効率的に過ごしていきたいと考えている今日この頃です。

 さて今回は「人財を育てよう!」ということでISO9001でいうプロセスと力量の関係について書いてみたいと思います。ちなみに「人財」の「財」については私が社会人になる頃に当時の会社の人事部長が「社員は財産なので当社では材ではなく財を使う」との言葉に共感し、それ以来、私も「財」を使うようにしています。このような解釈をしている企業はたまにお見かけしますね。なお、「材」も「材料」という意味だけでなく、「役に立つ才能・素養」という意味もあるので決して悪い意味ではないので念のため補足させていただきます。

目次

1. 力量とは

2. プロセスと力量の関係

3. まとめ (ChatGPTによる要約)

1. 力量とは

 
 力量についてISO 9000 (3.10.4) の用語の定義を引用します。

力量 (competence):(ISO 9000:2015 3.10.4)
 意図した結果を達成するために,知識及び技能を適用する能力。

 
 はい、フワッとしてますね。ISOは基本的に汎用的なものなので仕方ないですが、これを少しずつ自分事としてテーラリングしながら具象化すると理解しやすくなります。後ほど具象化した話はしますが、もう少し力量をブレークダウンすると、力量は以下の要素から構成されます。

表1:力量の構成要素
要素 説明
教育
  • 一般的に広範囲で理論的な知識を提供すること。
  • 概念、原則、理論を理解し、問題解決能力を向上させるための重要な手段。
訓練
  • 訓練は特定の技能や行動を習得または改善するための実践的な手段。
  • 訓練はしばしば特定の職業やタスクに対する具体的な技能を強調し、具体的な職業目的を持つ。
  • 職場のオン・ザ・ジョブ・トレーニングやワークショップなどで行われることが多い。
経験
  • ある分野での実際の作業時間を指す。
  • 経験を通じて、個々人は問題を理解し、対処するための具体的な知識を得ることができる。
  • 経験は、実際の作業状況や実際の問題解決を通じて獲得される。
資格
  • 一定の基準を満たしたことを示す証明。
  • 通常、試験に合格する、特定の教育を完了する、または所定の経験を積むことによって得られる。
  • 一般的に第三者機関によって提供され、特定の能力や知識を証明する。

 

2. プロセスと力量の関係

 まず上記の「力量」の定義の中の「意図した結果」ですが、これは下図1のタートルチャートでいう「アウトプット」のことですね。また、アウトプットが明確であったとしてもインプットや物的資源(ツール)、方法(手順)、評価指標などが曖昧だと期待するアウトプット(意図した結果)が得られない、少なくとも再現性が低くなる恐れがありますね。言い換えるとプロセスの構成要素すべてがそろって初めて期待するアウトプット(意図した結果)が得られるということです。したがって、人的資源 (力量) はプロセスを構成する1つの大事な要素であり、この構造を理解しないまま力量の定義や教育計画を考えると的外れなことになり兼ねません。


プロセス
図1 タートルチャート (クリックして拡大)

 
 ここから少し具体的な話をします。私は普段お客様の会社全体のあるべきデータモデルを構築していますが、そのプロセスの一部である「論理データモデリング」プロセスをタートルチャートで表現したものを下図2に示します。なお、各要素の中身については便宜的に省略していますので、その旨ご理解いただければと思います。


タートルチャート
図2 論理データモデリングのタートルチャート (クリックして拡大)

 
 右上の赤い四角で囲まれた「データモデリングを行える力量」について先ほどの構成要素を踏まえてブレークダウンします。(あくまでサンプルです)

表2:論理データモデリングに必要な力量 (サンプル)
力量の構成要素 論理データモデリングに必要な要素
教育
  • データモデルを描く目的を理解している
  • リソース(マスタ)とイベント(トランザクション)の関係を理解している
  • スーパータイプ(抽象)とサブタイプ(具象)の関係を理解している
  • ModusMDM/TDMを理解している
  • 業種・業界の業務知識を持っている
訓練
  • データモデリングツールを使ってデータモデルを描ける
  • データモデルを用いて会話ができる
  • データモデルの抽象化ができる
  • 論理的思考ができる
経験
  • 特定のサブジェクトエリアのデータモデルを描いたことがある
  • エンタープライズデータモデルを描いたことがある
資格
  • データベーススペシャリスト
  • システムアーキテクト

 上記のように力量要件を洗い出すと「そんな人財は社内にいない」ケースもあろうかと思いますが、一番マズイのは人がいないからといって力量要件を曖昧にしたり、下げたりすることです。そうではなくて、不足分については短期的には誰か(社外含む)がカバーし、中長期的にはやはり人財育成計画を立てて人に投資をすることが必要です。人財育成は基本的には経営層が方針やお金を出し、私のようなミドル層が具体的なプロセス定義や力量定義を行って進めるイメージですね。もちろん、各組織がちゃんと人を育てているかどうかをチェックしたり、サポートするのは人財開発部署(人事部など)の役割ですね。
 
 ちなみに私が入会しているIasa日本支部の活動の一環で、Iasa Globalが発行しているBTABoKのコンピテンシーモデルについてコラムを書きました。ITアーキテクチャデザインを行うための力量を理解するための一助となれば幸いです。

 (参考) BTABoK Competency Model ~ アーキテクトに必要なコンピテンシーとは ~

3. まとめ (ChatGPTによる要約)

 以下、今回の内容をChatGPTに要約してもらいました。(レスポンスの中身そのまま)

ChatGPTによる本ブログの要約

  • このブログでは「人財を育てよう!」というテーマで、「人財」の重要性とその育成方法について語られています。
  • 「人財」は貴重な資産として認識され、その育成の第一歩は力量(知識や技能を適用する能力)を定義することだと述べられています。
  • 力量は教育、訓練、経験、資格などから成り立つと説明され、それらはプロセス全体における重要な要素であり、力量定義を理解しないと教育計画が的外れになる可能性があると警告されています。
  • また、不足している力量については、中長期的に人財育成計画を立てて投資すべきだと主張されています。
  • これらのプロセスは経営層が方針や資金を提供し、ミドル層が具体的なプロセス定義や力量定義を行い、人財開発部門が進行状況をチェックすることで推進されるべきだと述べられています。

 
 上記の「警告」や「主張」、「べき」といった表現が多少気になりますが、私がお伝えしたかったことを簡潔にまとめてくれていると感じます。さすが。。。ありがとうChatGPT笑。

 次回は運用について、ISO9001の第8章を参考にしながら書きたいと思います。

タイトル (予定) 内容 (EAとの関係性の解説)
第1回 MSとEAを共通言語にしよう! MSとEAの関係性
第2回 ビジネスプロセスを見える化しよう! ISO 9001 序文 プロセスアプローチ
第3回 メタデータを整備しよう! ISO 9001 3章 用語及び定義
第4回 ビジネスニーズと組織の状況を把握しよう! ISO 9001 4章 組織の状況
第5回 ロードマップを整備しよう! ISO 9001 6章 計画
第6回
(今回)
人財を育てよう! ISO 9001 7章 支援
第7回
(次回)
積極的に運用しよう! ISO 9001 8章 運用
第8回 改善ポイントを見つけよう! ISO 9001 9章 パフォーマンス評価
第9回 少しずつ良くしよう! ISO 9001 10章 改善

 ご一読いただきありがとうございました!

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Profileプロフィール

井﨑 学
分析・計測機器メーカーのIT部門にて18年間、BPR、システム企画、EA、マネジメントシステムの導入を推進。 その後、アイ・ティ・イノベーションにてデータ中心アプローチによる上流コンサルティングに従事。 Iasa日本支部会員、DAMA日本支部会員、PMI日本支部会員。 趣味はジョギングと読書。好きな飲み物はコーヒーとビール。

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