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積極的に運用しよう! ~ 運用プロセスとBAの関係性 ~

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 連日暑い日が続いておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
私は日々エアコンの効いている空間と効いていない空間を行き来する中で少しずつ体力を消耗中。その他近況としては、先日地元の花火大会が4年ぶりに開催され、感慨深くなった今日この頃でございます。

 さて今回は「積極的に運用しよう! ~ 運用とBAの関係性 ~」と題して「ISO 9001 8章 運用」の内容をざっくり見ながらEAにおけるBAとの関係性について私が感じることを書きたいと思います。

目次

1. 運用とは

2. 運用プロセスとBAの関係性

3. まとめ (ChatGPTによる要約)

1. 運用とは

 まず「運用」という言葉の定義について考えてみたいと思います。ISO 9001 8章の「運用」は以下の節で構成されています。

  • 8.1 運用の計画及び管理
  • 8.2 製品及びサービスに関する要求事項
  • 8.3 製品及びサービスの設計・開発
  • 8.4 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理
  • 8.5 製品及びサービス提供
  • 8.6 製品及びサービスのリリース
  • 8.7 不適合なアウトプットの管理

 個々の節の解説は割愛しますが、ISOの解説書等では「運用」という言葉を「製品実現」と置き換えて解説する場合もあります。8章について私の解釈を踏まえて超端的に言うと、「顧客が求める製品及びサービスを安定および継続して作るための仕組みを構築せよ」ということです。またマーケティングにおける有名な言葉「ドリルを買う人が欲しいのは穴である」が意味するように、「顧客が求める製品及びサービス」の部分を少し上位概念に上げて「顧客が真に求めるもの = 価値」と解釈できます。前置きが長くなりましたが、まとめると「運用」とは以下のように定義できると考えます。

運用 = 価値実現 (顧客が求める価値を安定的・継続的に作るための仕組み)

 

2. 運用プロセスとBAの関係性

 上述の定義に基づいてISO 9001 8章の各節(下表の左)の一部の単語を少し抽象化して置き換えたものを下表の右に示します。

運用プロセス (ISO 9001 8章) 価値実現プロセス
8.1 運用の計画及び管理 価値実現の計画及びマネジメント
8.2 製品及びサービスに関する要求事項 価値に関する要求事項
8.3 製品及びサービスの設計・開発 価値の設計・開発
8.4 外部から提供されるプロセス,製品及びサービス管理 ビジネスパートナーから提供されるプロセス,価値マネジメント
8.5 製造及びサービス提供 価値の創造及び提供
8.6 製品及びサービスのリリース 価値のリリース
8.7 不適合なアウトプットの管理 低品質なアウトプットのマネジメント

 お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、上の表の右の「価値実現プロセス」はEAの文脈でいうBAで行う活動の一部です。つまり、ISO 9001 8章の内容はBA活動の一部と解釈できます。BA活動には「ビジネスプロセスデザイン」、「ビジネスフローデザイン」、「ビジネスルールデザイン」といった「ビジネスアーキテクチャデザイン」活動がありますが、超ざっくり言うと、ISO 9001 8章で語られているのはそのようなことです。なお、アーキテクチャデザインについては以下の弊社松井のブログをご一読いただくとより理解が進むと思います。

(参考) アーキテクチャをデザインするということ(1)

 ここから少しEAの文脈で話しますが、私たちITIはデータの利活用などにお困りのお客様に対して、EAをベースとした「データ中心アプローチ」を採用し「データアーキテクチャ(DA)のあるべき姿」に近づけるためのコンサルティングをさせていただいています。その際、DA領域だけでなく、BAやAA、TA領域も程度の差はあれ拝見します。それらの関連資料の提供をお客様に依頼した際、DA、AA、TAに関してはある程度出てきますが、BA関連の資料はISO 9001を取得しているお客様においても体系的に管理・把握されているお客様は少ない印象です。(個別業務の手順書などはあるが、全体的に体系化されたものはほぼない状況)
 一方でDXプロジェクトと題して現状のビジネスプロセスの可視化を行うために、局所的なビジネスフロー図を描くケースもあろうかと思います。現状のビジネスプロセスやビジネスフローを可視化したものがないので作ることは必要なことですが、せっかく時間とお金をかけて描くのであれば価値実現プロセス図(全体図)を意識した上で、特定の領域に絞った形のサブプロセス図(部分図)を作成した方がよいでしょうし、描いたプロセス図を維持・更新することで、今後の改善や新たなDXプロジェクトにも役立てられると思います。個人的にはISOやマネジメントシステムの維持・改善活動とDXプロジェクトの動きを整合させ、柔軟かつ有機的に結びつけることにより、企業内の改革・改善のベクトルを合わせることができ、その動きがより加速することを期待しています。



EA概念図 (クリックして拡大)

 
 今後のビジネスプロセス改革・改善は基本的にITありきですが、ITソリューションの選択肢も日に日に増えていることもあり、ITシステムのスパゲティ化やブラックボックス化のリスクも増加傾向にあると感じます。そのような状況において、マネジメントシステムの全体最適化を行う1つの手段としてのEAが今後益々重要になってくると感じています。
 特にBAは価値実現の司令塔的なレイヤーですので企業内でビジネスアーキテクトのアサインや育成、または採用が必要になると思います。
 また、DAもさまざまな意思決定を支援するデータを司る領域ですので、BAと合わせて押さえておく必要がありますが、個別業務システムのデータモデルはともかく、全社データモデルのAs-IsとTo-Beを描いてあるべき姿にリードしていくのはなかなかパワーもテクニックも必要になります。したがって、BA領域と同様にDAの専門家であるデータアーキテクトのアサインや育成、または採用も必要になると感じます。短期的には私たちのようなデータマネジメントの専門家を入れて進めることも必要かもしれませんが、中長期的にはそれぞれの企業内でDA領域の最適化を積極的に推進する必要があると私は思います。

3. まとめ (ChatGPTによる要約)

 以下、前回のブログ同様、今回の内容をChatGPTに要約してもらいました。(レスポンスの中身そのまま)

( ChatGPTによる本ブログの要約 )

この文章は「積極的に運用しよう! ~ 運用とBAの関係性 ~」をテーマに、ISO 9001 8章の「運用」内容とBA (ビジネスアーキテクチャ) との関係性を解説しています。主なポイントは以下の通りです。

  • 「運用」の意味は、顧客が求める価値を安定・継続的に実現する仕組み。
  • ISO 9001 8章の各節は、価値実現プロセスと対応し、BA活動と解釈できる。
  • 現代のビジネス改革・改善はIT依存で、BAやDA (データアーキテクチャ) の重要性が高まっている。
  • 企業はBAとDAの専門家の育成や採用が必要で、適切なデータ管理と価値実現が求められている。

 
 すばらしい。伝えたかったポイントは押さえてくれてます。ありがとうChatGPT!

 次回はISO9001 9章 パフォーマンス評価について見ていきたいと思います。

タイトル (予定) 内容 (EAとの関係性の解説)
第1回 MSとEAを共通言語にしよう! MSとEAの関係性
第2回 ビジネスプロセスを見える化しよう! ISO 9001 序文 プロセスアプローチ
第3回 メタデータを整備しよう! ISO 9001 3章 用語及び定義
第4回 ビジネスニーズと組織の状況を把握しよう! ISO 9001 4章 組織の状況
第5回 ロードマップを整備しよう! ISO 9001 6章 計画
第6回 人財を育てよう! ISO 9001 7章 支援
第7回
(今回)
積極的に運用しよう! ISO 9001 8章 運用
第8回
(次回)
改善ポイントを見つけよう! ISO 9001 9章 パフォーマンス評価
第9回 少しずつ良くしよう! ISO 9001 10章 改善

 ご一読いただきありがとうございました!

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Profileプロフィール

井﨑 学
分析・計測機器メーカーのIT部門にて18年間、BPR、システム企画、EA、マネジメントシステムの導入を推進。 その後、アイ・ティ・イノベーションにてデータ中心アプローチによる上流コンサルティングに従事。 Iasa日本支部会員、DAMA日本支部会員、PMI日本支部会員。 趣味はジョギングと読書。好きな飲み物はコーヒーとビール。

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